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「都市伝説 (Urban Legend) とは、 現代の都市社会の中で生まれた、 人々の関心と興味を引くような奇妙な噂話」 と定義できよう。
それらは根拠薄弱で、 本当のこととして語られているけれど、 誰も確かめた者がいないと云う特性を持っている。
  古典的なものでは、 「トイレの花子さん」  (学校のトイレに住みついているとされる若い女の子の幽霊)
  比較的新しい所では、 「ハンバーグの肉には、 ネズミの肉が使われている」 と云った類。
  いやそれだけではない。 日々次から次に生まれ (作られ) てゆく。

「東京ディズニーランドの地下には、 秘密の巨大なカジノがある」
「井の頭公園のボートに恋人同士で乗ると離別する」  (弁財天が嫉妬するため)
「マッハッタンの地下下水道には巨大なワニが棲んでいる」  (捨てたペットが成長した)
「アポロの月面到着は捏造である」
「味の素は、 理髪店から集めた毛髪から作られている」
「濡れた猫を電子レンジで乾かそうとしたら死んだが、 取扱説明書にペットを乾かすなと書いなかったと訴えて勝訴した」


(電子レンジの猫 : 写真は Web より)

  次々と作られて、 次々と消えてゆく。 いや、 消えてゆかないのが噂話である。
「人の噂も七十五日」 と云うけれど、 それは昔の話。
現代では社会の片隅に、 例えば、 ネットの片隅のメモリーにひっそりと残って、 思わぬ時に再びひょっこりと顔を出す。

  一体、 都市伝説とは何なのだろう。 「現代の都市社会で生まれた・・・」 と云うけれど、 都市に限らず、 昔から同じような噂話は生まれており、 作られていた筈である。
  今昔物語だって、 昔は巷間の噂話であり都市伝説だった。 遠野物語だって昔は山村における都市伝説である。
  ただ、 現代のように、 情報メディア、 情報手段が発達していなかったため、 水の上に浮かんだ気泡のように、 出来てはすぐに消えてゆき、 さほど広がらず、 さほど残らなかっただけのことではあるまいか。 僅かに書き留められたものだけが物語として残り、 水底に沈殿した砂金のように光っているのではあるまいか。



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