戻る パソコン世界の五不思議 (パソコン)


五不思議 パソコンの世界にも不思議なことがある。

(その1) このネズミ、尻尾が頭に着いている
 尻尾は尻に着いているから尻尾である。 しかるに、パソコン世界のネズミ (マウス) は、奇妙にも、頭の先に尻尾が着いている。 どうして、こんなことになったのだろう。 遺伝学でも分からない。 形態学でも分からない。 モトモトコレハ、ネズミなんかではなく、新種も新種の新しい動物だったのだ。 それをネズミと見間違った奴は一体何者だ。 乱視かスガメか、いや、頭の後ろに目が着いているのか。

(その2) パソコンは終了するとき開始する
 パソコンを終了しようとする時に、スタート (開始) のボタンを押せとは、これ如何に。 終了とは開始なり。 停止とは前進なり。 死亡とは誕生なり。 暗黒とは光明なり。 愛とは憎なり。 コリャ、そもさん、禅問答か。 それとも大宗教の奥義なのか。 パソコン村の有り難いご神体か。 それとも、狂気のシンボルか。

(その3) 机の中に窓がある
 モニターの画面はデスクトップ、机の上。 この中にウィンドー (窓) が開かれる。 なんと、机の上に窓がある。 そんな机、見たことない。 そんなのないでぇー。 そんな机があったら、びっくりするだろうなあ。 机の上で一生懸命手紙を書いていたら、急に机の上がぽーんと開いて、ガラス窓になり、 窓の向こうから相手の顔が、にゅーっと出てきて 「こんばんわ」 なんて云われたら、 卒倒して腰を抜かして死んでしまうよ。 どこのオバケ村から来たオバケなんだ。
 ところが、このオバケには子供もいる。 壁紙は壁に貼るもの。 床に貼ったり机に貼ったりはしないさ。 床に貼るのはフローリングか絨毯。 机に貼るのはテーブルセンター。 いや、あれは貼るのではなく置くのさ。 パソコンオバケの世界では、机の上に壁紙を貼る。 デスクトップに壁紙を貼る。 変な机・・・・・・。 こいつが、窓のオバケの子供オバケ。

(その4) 無くなることが最小化
 打出の小槌を叩いて叩いて、小さくなれ小さくなれと、一寸法師を小さくしていって、 砂粒くらいにしてしまっても、一寸法師は消えはしないさ。 目に見えないくらいに小さくなっただけさ。 電子顕微鏡で見れば、針の刀を振り回しているのが見えるよ。 無限小は零にあらず。 なのにウィンドーズパソコンでは、最小化とは消えてなくなること。 いや、「終了してはいないよ」 と云うけれど、だったら、「隠れている」 となぜ云わぬ。 お前は言葉を知らぬのか。 それとも頭脳の歯車が、世間の人とは少し違っているのかな。

(その5) チルダはニョロッと現れる
 キーボードのキーの上の文字は何なのだ。 以前は、大部分のキーボードでは、「〜」 (チルダ) が書いてある (わ) のキーは、押しても引いても 「〜」 が出ない。 2つ隣の 「 ̄」 (オーバーライン) が書いてある (へ) のキーを押して 「〜」 を出す。 最近のキーボードは、メーカーもさすがに変だと思ったのか、改良して、(わ) のキーには何も書かず、 (へ) のキーに 「〜」 を付けているが、それでもまだ、オバケの影が残っている。 日本語入力で文字種を英数にして (わ) を押すと、何もない所から 「〜」 が、ニョロッと出る。 (ATOKの時のみらしいが)
 これで、キーボードのオバケは、ほぼ退治されたのかと思っていたが、何の何の、変なオバケがもう一匹いる。 (ろ) のキーである。 そこには 「\」 (逆スラッシュ) が書いてあるが、殴っても叩いてもこれは出て来ない。 代わりに出てくるのは 「¥」 である。
 何故こんなことになっているの!。 「看板に偽りあり」 ではすまされぬ。 不当表示だ。

 5つまでオバケを書いたが、五不思議では落ち着きが悪い。 「七」 不思議としたいが、あとが出て来ない。 もう2匹、不思議のオバケをご存知の方は教えて下されたく。


(2001年12月)


七不思議追記

福岡の中西一夫先生から、パソコンの七不思議話を18題も頂戴した。 それらを少し整理して、ここに追記する。

(その1) 男と女の物語
 男性名詞か女性名詞かに誠にうるさいドイツ語やフランス語では、パソコンと云う言葉は男性名詞である。 だから、パソコンは歴とした男性である。しかるにその中に入っているのがマザーボード。 男の中に母を宿す。 男の中に女がいると云う不思議。
 そう言うと、キーボードと云う言葉は男性名詞。 マウスと云う言葉は女性名詞。 男は常に叩かれて、女はやさしく掌に包まれるべきなのか。

(その2) アツカマシイ奴たち
 パソコンの凄さはメモリーに入れられたプログラムにあるのに、CPU(中央処理装置) は自ら 「コンピューターの頭脳」 と称し、 あたかも自分が総てやっているかのように偉そうに振る舞う。 本当は指令に基づいて動いている足軽に過ぎないのに、大将軍か参謀長のような顔をするアツカマシサ。
 そう言うと、OS (operating-system) なんて云うのも何だ。 大型コンピューターと違って、パソコンにはオペレーターは存在しないのに、 オペレーティングシステムと称する誇大さは何だ。パソコンよ、もっと謙虚になれ。

(その3) 悪いのはお前だ
 パソコンで一番腹が立つのは、 「不正な処理をしたので強制終了されます」 と云うメッセージ。 「えっ、私が何か悪いことをした?」 と怒鳴りたくなる。まるで罪人を告発するような物言い。 気が弱いと 「すみません、私が至らないもので」 と恐れ入りたくなるが、考えてみれば、悪いのは私ではなく、 パソコンの方だ。それをまるでユーザーのせいであるかのように云う傲慢さは何だ。 このメッセージの主語は Windows であるのに、それをそれと書かぬのは何故なのだ。
 ウィルスも、ソフト側の不備で作り出されるものなのに、ユーザー側が寛大にも温かく見守りつつ、 お金をかけてセキュリティソフトを購入することが当然とされる不思議さ。
 総じてトラブルの原因の殆どはパソコン側にあり、ユーザー側ではないのに、その解決にユーザーが一生懸命努力する不思議さ。

(その4) 本当はバカなのだ
 コンピューターは2進法しか分からないくせに、10進法や12進法を使いこなしている人間よりも偉そうな顔をしている。 コンピューターは足し算しか出来ないのに四則演算も九九も出来る人間よりも偉そうにしている。 要は総ての計算を2進数の足し算に変換する方法を人間に教えられて、 ガムシャラに速く動いているだけなのに、そんなことは押し黙っている。 人間の方もそんなことを忘れてしまい、エライ奴だと思っている不思議さ。本当はとてもバカなのだ。
 そうだ、コンピューターと云うものは神業的速さだけが能力なのだ。 その事は、それを使うユーザーの方にも影を落とす。 単純労働のキーボード入力作業が神業的に速いだけで、 「あいつはパソコンが出来る」 と見なされるその不思議さ。

(その5) マニュアルはわざわざ難しく書いてあるのか
 マニュアルは格調高い雰囲気を出すために、わざわざ分かり難く書いてあるのだろうか。 「マウスでクリックしてドラグする」 など書いているが、 「クリック」 はもともと 「カチッ」 と云う音の幼児語だから、 「そのネズミみたいな奴をカチッと云わせて引きずりなさい」 と云えばよいのだ。 しかし、本当にそのように書くと大人はバカバカシクなってやる気を失うかも知れないと云う不思議さ。


(2009年12月)



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