戻る 報道における情報操作 (情報操作)


情報操作とは、 情報受信者の判断が、 自分の意図するものになるように、 情報に手を加えることである。

そこでは、 あらゆる手段が用いられる。 それらのうち、 一般的、 かつ典型的と思われるものを列挙する。
国家権力などによる、 情報の強権的抹殺や情報の強制的捏造も、 広義の情報操作であるが、 ここでは含まないことにして、 主にマスコミなどで行われるものに限定する。

@ 消息筋
   「消息筋によれば・・・」 「関係先によれば・・・」 と書いて取材源を伏せた形で、 権威があるように装い、 自分の意見を述べる。
A 怖れがある
  「・・・の怖れがある」 と書いて、 不特定多数の意見のように装って、 自分の意見を潜ませる。
B 誘導質問
 自分の意図する回答が得られるように誘導的に質問する。
C コピー&ペースト
 長い文章の中から、 自分の意図に合うような一部分を切り出し、 それを繋ぎ合わせて、 意図通りの文章にする。
D やらせ
 人に依頼して、 意図に沿った行動をしてもらい、 それを目撃事項として報道する。
E コメント
 事件に対する説明を付け加える中で、 自分の意図する解釈を述べる。
F 言い換え
 否定的な単語を肯定的な単語に置き換える。 テロリズムをレジスタンスと言い換え、 争乱を抗議デモと言い換えるたぐい。
G 因果関係
 都合のよい原因・結果関係を示す。 そんな悪い子だったのなら、 そんな悪事もするだろうと思わせる。
H 注意転換
 センセイショナルな事件によって、 人々の関心を他へそらす。
I 劇場型
 誰かを悪者に仕立てて、 共通の敵を作り、 人々の憎しみをそちらに集め、 自らを正義の味方にする。
J 偏向報道
 紛争中の一方の当事者の意見のみを取り上げ、 他方の意見を書かない。

(付記)
米国の宣伝分析研究所は、 第二次大戦中に 「効果的な情報操作の研究」 と云うものを発表した。 これによると、 世論誘導・情報操作には次の7つの手法があると云う。

 @ 攻撃相手にネガティブなレッテルを貼る (ネームコーリング)
 A メリットを最大限に強調、デメリットは矮小化する (カードスタッキング) 
 B これが世の中の趨勢であるように言い立てる (バンドワゴン)
 C 権威者やカリスマ的な人に語ってもらう (証言利用)
 D 自分たちが味方であると一体感を強調する (平凡化)
 E さまざまな権威や威光を持ち込んで正当性を強調する (転移)
 F 普遍的道徳的なものと自分を結びつける (普遍化)

(付記)
このような、 マスコミに対する批判や不信は、 云われて久しい。 以前から云われる所である。 しかし、 それでも人々はマスコミから隔絶することは出来ない。 現在、 人々は何らかの形でマスコミの繰り出す日々の報道の中に曝され続けている。 これは何なのだろう。 これぞ情報化社会。




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