@ 年代の喪失
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まづ最初に分からなくなってゆくのが、 その事が起こった年月日である。
そして、 「昔々あるところに・・・」 になってゆく。
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A 人名の喪失
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次に分からなくなってゆくのが、 人名である。
固有名詞が失われて 「昔男ありけり」 になり 「おじいさんと、 おばあさんが・・・」 になってゆく。
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B 有名人への仮託
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人名喪失のバリエーションであって、 誰か有名な人物の話にしてしまう。
お寺の場合には、 しばしば、 弘法大師や聖徳太子、 神社の場合は、 しばしば菅原道真や源義経などの話にされる。
このため、 およそ考えられもしない場所で 「義経が奥州に逃げてゆく途中・・・」 なんて話があったりする。
こうして、 仮託された人物の方は、 止めどもなく肥大する。
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C 同名人物の混同
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同じ名前の人物の話がその人の話になってしまう。
例えば 「花」 と云う名前の女性が何人かいると、 それらの人の話が全部その人の話になってしまう。
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D 類似の事柄との混同
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例えば、 仇討ちとか、 嫁いびり、 継子いじめとか云うような事件は、 すべてが混同されてしまう。
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E 隠蔽・責任転嫁
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都合が悪いことは隠してしまう。 抹殺して、 なかったことにしてしまう。
あるいは他人のせいにしてしまう。 失火で焼失しても、 戦で焼き討ちにあったとか。 ・・・
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F お国自慢
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例えば、 都と云う名がついていると、 辺地の山奥にもかかわらず、
昔ここに都があったとか、 こここそ、 かの有名な宮殿の跡とか言い出すたぐい。
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G 系図の創作
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何とか天皇の後胤とか、 誰々様のご落胤とか・・・。
昔は、 注文に応じて系図を創作する系図屋と云う者までいたと云う。
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H 荒唐無稽の創作
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最後の段階では、 空を飛んでいったとか、 地の底に潜ったとか、 鳥になったとか、 魚になったとか・・・・
荒唐無稽な話が作られて、 それが結構、 有り難がられる。
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