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電子の海 ―― 正孔と陽電子 (半導体) |
(1) 正孔 (Hole)
トランジスターやダイヤードの構成要素であるP型半導体では、 その作用を正孔というものによって説明する。
これは、 マイナスの電気を持っている電子がギッシリと隙間なく詰まったシリコンの結晶格子の中に生じた電子のない空隙であって、 まるで、 プラスの電子と見なすことが出来るので、 正孔と呼ぶものである。
これは 「電子の海」 にぽっかりと生まれた泡に喩えられる。 この泡がシリコンの中を移動する。
これについては、 次のような比喩が行われている。
小学校の学芸会や音楽会で、 前の方の席が空くと、 後ろの方にいた人が前に移動する光景をよく見かける。
その後に出来た空席を、 さらに後ろに居た人が埋める。 と云う様子に似ている。
電子はマイナスの電気を持っているので、 プラスの電極に引かれるが、 空席はマイナスの電極の方に動いているので、
あたかも、 空席自身がプラスの電気を持っているかのように見えるのである。
そこでこの空席、 電子のない孔を正孔と呼ぶ。 (上山清二:Webで学ぶ情報処理概論、 p36) |
空間はマイナスのエネルギーを持つ電子で埋め尽くされている 「電子の海」 である。 この電子の海から電子1個を取り出すと、 取り出された電子はプラスのエネルギーを持つようになり、 もともと電子が1個あった場所に穴があく。 ・・・この穴はプラスの電気を帯びているように見えるはずであり、 この穴は別の電子によってふさがれない限り存在し続ける。 これが反電子である。 ・・・この現象が対生成である。 (村上斉: 「反物質の謎」 Newton 36巻4号64〜65頁) |
負エネルギーが詰まった真空に、 高エネルギーのガンマ線が走ると、 ガンマ線のエネルギーは負エネルギーの電子にエネルギーを与える。 そうすると、 負エネルギーだった電子は正エネルギーの通常電子 (負電荷) となって真空に飛び出す。 すると、 この電子が居た負エネルギーだった場所は、 電子が飛び出すので穴になる。 周りがすべて負エネルギーの空間に穴が出来ると、 そこは、 負電荷が持ち去られた正エネルギーの電子として観測されるはずである。 負電荷が持ち去られたのであるから、 その電子は正電荷である。 (「なにはさておき量子論」 http://www1.odn.ne.jp/~cew99250/html/C_5.html) |