資料シート●各科目

記数法

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 数を書き表したものを記数という。記数に使う文字のうち、数を書き表すためだけに使う専用の文字を数字という。数と数字は、よく似ているが、全く別のものだから、きちんと区別しなければいけない。数字は数を書き表わすための文字、数は数字を使って書き表わされる内容だ(資料[数 記数 数字])。

 数字と数を混同しないようにするために、この単元では、数字(やそのストリング)はコーテーションで括って("2")書き表し、数は裸のまま(3)で書き表して区別する。

 ほとんどの数は、複数の数字を組み合わせて書き表される。この組み合わせ方の規則を記数法という。今は、インド記数法が国際的な標準の記数法として使われている。

 インド記数法は、もとはインドで使われ始め、それがイスラム圏を通じてヨーロッパへ、さらに近代になって世界の各国に伝えられた。一般にはアラビア記数法と呼ばれているが、あまり適切な呼び方ではない。

 記数法に基づく綴りとそのほかのふつうの綴りとは、よく似ているが実は全く質が違う。記数法に基づいて作られた綴りは、それ全体がまるで一つの新しい字であるかのように扱われるからだ。
 たとえば、"10" という綴りは "じゅう" とか "ten" などと読み、字が並んでいる順に "いち-れい" と棒読みしたりはしない(これが記数でなかったら別だけど)。これがもしふつうの、たとえば "記数法" のような単語だったら、並んでいる字にちなんだ "き-すう-ほう" のように読むだろう(まあこっちもそんなに単純じゃない。"しる-かず-ほう" ではないという別の種類の知識も必要だけどね)。これに対して、"じゅう" という読み上げの音は "1" にも ""0" にも関係ない。
 "10" が "じゅう" と読めるためには、"10" という綴りが10(という数)を意味しているということが(それと10は "じゅう" とを読み上げるということが)分かっていなければならない。このような知識の体系が記数法だ。

 世界には地域や時代によって違ういろんな記数法があり、それぞれの文化の中で独自に発展していた。たとえば日本でも、ふつう使われているインド記数法("1984"のような)のほかに、漢字を使う記数法("千九百八十四")が使われている。また、今では使われなくなってしまった記数法もある。

資料

[古代エジプトの記数法]
[バビロニアの記数法]
[古代ギリシアの記数法]
[古代ローマの記数法]
[マヤの記数法]
[現代アラブ世界の記数法]

 記数法には必ず、スキーム、数字、文型の三つの要素が含まれている。
 スキーム(scheme)は、数をあらかじめ決められている有限の種類の要素(1、10、100、...など)とその構造に分解するための枠組みだ。これによってその数の要素と構造とが分かったら、要素を数字(digit)に、構造をその並べ方(syntax。堅いことばでは)に置き換えることによってストリングが作られる。



 よく考えてみると、数のようによく使われる概念に対して、記数法という特別な表現のシステムが作られているのは珍しい。そもそも、自然な整数のうちの特に小さい数(0〜9ぐらい)は、それぞれに特有の名前(▽図)を使って書き表わされるようになっていて、記数法を使わなくてもいいようになっている。しかし、どんなに古い文化であっても、たいていはそれぞれ固有の記数法を確立している。
 記数法の存在は、たぶん、数が無数にあることと関係がある。数は、特に新しく見つけたり作ったりするまでもなく、始めから無数にあることが分かっている。しかし、それを書き表わすための文字の種類は有限しかあり得ない。つまり、有限の種類しかない文字を使って無限の種類の数が書き表わせるような手段が必要になる。
 幸いなことに、文字の種類が有限でも、その並べ方なら無限に存在する。このことのおかげで、数を書き表わすための文字である数字と、その並べ方である記数法は成立している。



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01-07-20