たとえば、"3"は1の次の次の数=3を意味する。
意味の3は数だが、それを
表現するのに使った"3"は数字だ。"3"、"三"、"参"の三つは同じ数を表しているが、数字としては全く別のものだ。この意味で、たとえば"数字が合わない"なんて言い方は(もう言い回し化しているが)しない方がいい。
コンピュータ科学では、厳密には"0", "1", "2",...,"9"の10種類の
文字を
数字(digit)と呼んでいる。ただし、数字だからと言って、ほかの一般の
文字と特に違う扱いをするわけではない。
"-"やピリオド(".")や"A"〜"F"の6種類のアルファベットも数字に加えることがある。
数と数字(または記数)との違いは、いろんな性質を考えようとする場合にはっきりする。
"コンピュータ"と"科学"とから"コンピュータ科学"を作るストリングの操作を連接という。連接は数になぞらえて "コンピュータ"+"科学" のように書き表すことがある。
ほとんどの文化は、3ぐらいの基本的な数に対しては、それを書き表すための専用の数字を持っている。実際に、わたしたちは3を書き表すのに、"3"のほかにも"三"とか"参"("三"の
大字)などの記数を使う。"参"はともかく、"三"の方は漢字の文化における数字と言っていいだろう。
数字があってもそれだけでは数は書き表せない。数を書き表わすために最もたいせつな要素は何と言っても数字(といくつかの一般の
文字)だけれど、その組み合せ方もたいせつだ。この組み合せ方の規則が
記数法だ。
3に対しては"3"というそれを表すための数字があるが、数は文字よりも(したがって数字よりも)圧倒的に種類が少ない。
古代ギリシアの記数法のように、ふつうの文字を一つずつ数に割り当てていって、それでも足りなくなって外国の文字まで動員しなければならなくなってしまった場合もある。
わたしたちは、たとえば12を"12"と書き表している。このように、現代の世界で使われている記数法(
インド記数法と呼ぶべきだけれどアラビア数字と呼ばれている)では、ほとんどの数を、複数個の数字を組み合わせて書き表す。円周率(=3.14...)のように、数字ではなくふつうの字"π"で表わさなければならない数や、"1/3"のように、数式を使わないと書き表せない数もある。
さらに、
古代ローマの記数法(今でも時計などで見かける)のように、"III"のように3字も使って3を表し、3を意味する単独の数字を持たない文化もある。そもそも、
ローマ記数法は、"I"や"V"などのABCを流用して数を書き表し、専用の数字を使わない。