光子には、いろいろな
振動数(frequency)のものがある。
光子がいろいろな物質を構成している分子や原子に衝突すると、互いに作用してエネルギのやり取りや物質の変成が起こる。この作用の起こり方も、光子の
振動数によって違う。
人を含む多くの動物が
目で外界を見ることが可能なのも、光子と
目の感覚細胞との作用に基づいている。人の場合だと、
目の感覚細胞を刺激して光を感じさせることができる光子は、
振動数が0.38〜0.83PHzのものに限られる(▽図)。
光子は、
振動数(frequency)によって波長も振幅も波の広がりも決まってしまう。つまり、光子の種類の違いは
振動数の違いによって決定されている。
たとえば、
振動数が0.38〜0.83PHzの光子の波長はそれぞれ780〜360nm(大小の逆転に注意)になる。
PHzのPはペタと読み、1015を意味する。ハードディスクの容量を表すのに使うGBのGのさらに二つ上の桁に当たる。
nmのnはナノと読み、10-9を意味する。mmのmのさらに二つ下の桁に当たる。
光子はそれぞれがエネルギをともなっている。このエネルギが、日なたに置いてあるものを暖めたり、光合成を起したり、
目の感光細胞を刺激したりする。このエネルギの大きさも、光子の
振動数によって決まっている。
光子の
振動数が
νでそのエネルギが
Eだったら、この二つの間には、
E = hν
ただし h≒6.6×10-34J・sec (定数)
という単純な関係が成り立っている。つまり、光子のエネルギは
振動数が大きいほど大きい(=
振動数が2倍になればエネルギも2倍になる)。この性質を使って割り出すと、
振動数が 0.38〜0.83PHz の光子のエネルギは、2.5〜5.5×10
-19J しかないことが分る。
上の式の中でhで表されている定数は、原子や素粒子に関するいろんな法則に現れてくる重要な定数で、Planck の定数(プランクの-)と呼ばれている。
太陽や電球などの
光源(light source)からは、いろんな
振動数の光子が混ざって飛び出してくる。そして、物体の表面に当たって反射したり透過したりしてから
目に入ってくる。光子は物体の表面で一部が吸収されるが、
振動数によって吸収されやすいものと吸収されにくいものとがある。この傾向は、物体の表面の原子の状態(おもに分子の種類や並び方)によって違っていて、
振動数の小さい光子の方が吸収されやすい表面や、逆に
振動数の大きい光子の方が吸収されやすい表面がある。
目の奥に届く無数の光子の中に含まれているいろんな種類の光子の混ざり具合の違いを、
目は色の違いとして感じる(資料
[色が生じるしくみ])。
色合い、鮮やかさ、明るさは、混ざり合っているいろんな光子の
振動数の、
平均値、
分散、(時間当たりの)集団の全体の大きさとそれぞれ対応している(▽図)。