資料シート●各科目

DV

http://www.infonet.co.jp/apt/March/syllabus/bookshelf/DV.html



 ムービ(<movie。ビデオとサウンドの複合体)を記録/転送するために定められたフォーマット(format、書式)の一つ。
 また、そこで使われるコーデック(=情報の複合体の符号化/複合の方式)。







フォーマットとしてのDV


 ムービを記録する方式には、ベータ、VHS、8mmビデオなどいくつかの種類があったが、そのほとんどは、アナログ技術をベースにしていた。DVは、これらとは全く異なっていて、デジタル技術をベースにしている。つまり、色の明るさや、色の鮮やかさや、音などの変化を、それを表す数の列として記録する。
 DVでは、ビデオとオーディオのそれぞれのトラックについて専用のコーデックを使う。ただし、コンピュータでは、オーディオトラックだけPCMなどのコーデックに置き換えて再生しやすくしたフォーマットを代わりに使う。MacOSでは、初めの方(=本来のDV)を(QuickTime)DVストリーム、あとの方を(QuickTime)DVと呼んでいる。


コーデックとしてのDV


 コーデックとしてのDVでは、ビデオは29.97枚/秒のフレームに分割されている。そして、フレームを上下に480本/枚のラスタに、ラスタを左右に720個/本のセルに分割して扱う。フレームが横長だとは言っても、上下に比べて左右の分割の方がなお細かいので、各セルは正方形ではなく縦長の長方形になっている。これはあとで説明する色差の省略を補う効果がある。
 色はYCC表現によって記録される。

 正確に言っておくと、DVはさらにいろんな方式に分かれている。まず、DVはTV放送の方式に合せて作られているが、TV放送にはNTSC、PAL、SECAMなどのいろんな方式があるので、DVにもDV-NTSCとDV-PALの二つの系列がある。日本の(地上波)TVではNTSCを使っているので、ただ"DV"と言ったら、それはDV-NTSCの方を指している。
 また、民生用と、放送や映画に使われているDVとは少し違っている。また、放送や映画に使われるようなDVは、(おもにメーカの違いによる)さらにまた違ういくつかの方言に分かれている。民生用のDVは、いろんなメーカのDV方式の共通の部分を取り出したみたいな形で決められている。広い意味でのDVはこれらの方式を全部まとめたもののことを指しているが、狭い意味でのDVは、民生用DVを指すものと理解されている。

 アナログにしろデジタルにしろ、ムービに含まれる情報は量が半端ではないし、それでいて時間の経過に遅れないようにそれを高速に録画/再生していかなければならない。だから、DVでも、記録の作業をできるだけ減らせるように、いろんな工夫が行なわれている。
 その一つは、色差の省略だ。DVに限らず、カラービデオでは、色を輝度、赤色差、青色差(または緑色差)の三つの数量の組として表現している。DVでは、赤色差や青色差は四つのセルに対して一つしか記録しない(輝度はセルごとにきちんと記録する)。これを4:1:1方式という(▽図)。

規格
標本化比
DV
4:1:1
NTSC
4:2:2
MPEG1
4:2:0
MPEG2
4:4:4
4:2:2
4:2:0
MPEG4
4:2:0
モーションMPEG
4:2:2

 つまり、DVでは、赤色差や青色差、明るさに比べて1/4の比率でしか標本化されていないことになる。特にNTSC方式では、DVの水平方向色解像度は176(VHSよりも悪い)しかない。つまり、この点に関しては、DVはVHSなどよりも画質が劣る。ただし、これはおもに2:3プルダウンのためで、PAL方式なら2:3 プルダウンがないので水平方向色解像度は352(DVDと同じ) に達する。

 色差が本来の1/4しか記録されていないということは、色の変化が大ざっぱにしか記録されないことを意味する。もしもただ見るだけの目的でDVを使うのなら、わたしたちの視覚はその程度の性能しかないので見ていて気になったりすることはないが、加工や合成では問題が生じる。たとえば、クロマキーで背景やテロップを合成する場合には、ダミーの背景として使った青/緑色と残したい対象の色とが切り替わる線が最大で左右に4セルずれてでこぼこになってしまう。したがって、DVで微妙な輪郭を崩さないように合成をするのは原理的にはかなり難しい。
 このような省略が行なわれていても、正確に複製できることから、DVは報道用、業務用の方式としてはしだいに広く使われるようになってきた。


記録と媒体


 ビデオカメラやビデオレコーダでは、DVの記録媒体としてDVCという専用の磁性テープを使う。DVCには、大きめの標準テープと小さめのミニテープとがある。民生用(=つまりふつうにきみたちが店で買えるようなカメラやデッキのDV)ではミニテープを使う。
 ふつうに見かけるのはミニDVCの方なので、ただ"DVC"と言った場合はミニDVCを指していることが多い。1本のミニDVCには、標準速で30分の録画ができるものと60分(低速長時間録画で90分)の録画ができるものとがある。



 コンピュータでは、DVで表現されたムービは、ほかのいろいろなフォーマットの情報と同じように、それぞれ一つのファイルにまとめてMOやHDなどに記録される。


おまけ


 DVという名前は、もともと Digital Video を省略したもののつもりで使われてきたはずだが、用途をビデオに限定したくないという考え方から、現在では、特別に意味はなくてただ文字を並べただけだとするのが公式の定義になっている。



映像


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03-04-30