解説書●[メディアテクノロジー論]
組み立てる
●
パフォーマンス
変化の表現
△
< |
>
http://www.infonet.co.jp/apt/March/syllabus/MedTech/performance/performance.html
"パフォーマンス"ということばに相当する日本のことばは"演技"か"演奏"だろう。
演劇の人たちは
"演技"といい、
音楽の人たちは
"演奏"という。
舞踏や境界領域でどちらからも逸脱するところでしごとをしている人たちは、そのまま"パフォーマンス"と言っている。
この単元では、このことばを
ものごとの変化を扱うメディアをさすのに使う。もちろん、
演劇における演技、
音楽における演奏、舞踏におけるパフォーマンスなどはこの定義でならここに全部含まれるだろう。
"パフォーマンス"ということばをこういう意味で使うのは、少なくとも工学の世界では一般的ではない。だから、この用語法はこの科目だけの約束ということにしておこう。
ものごとの変化を表現するために、いろんなメディアが使われている。舞踏や体操をする人たちは、早くから
コレオグラフというものを使ってきた。
実は、パフォーマンスを表現する形式については、
コレオグラフのほかにもこれまでにいくつかの形式について学習してきた。
SMFは演奏の手順を表現するために
MIDIをベースにして作られた規格だった。以前は代わりにいろんな種類の
ピアノロールが使われていた。
詳しくは学ばなかったが、
スピーチを表現するための書式もいろいろ考えられている。現在では、
アクセントや
イントネーションも自然に再現できるようになっている。
けれども、ものごとの変化を表現する、という点では、まだ二つのたいせつなメディアのことを学習していない。
その一つは、ちょうど
サウンドにおける
音楽のように、ムービに対応する何かだ。つまり、動く画像を直接に表現するのではなくて、その画像が生まれるもとになる視覚的なものごとの変化を表現することだ。このような手法は、ライブの画像に効果として埋め込むアニメーションをコンピュータで生成する作業の途中で、
シーンのデザインを直していくのに便利な表現の手法としてスタジオの中で用いられている。また、きみたちがCDやウェブを通じて目にする情報の中には、読み手の操作に反応して変化してくれるものがあるが、これらも、パフォーマンスとして作られている。この単元では、このようなメディアが実際にはどう組み立てられていくのか見てみよう。
もう一つは、
サウンドやムービや
音楽の演奏やスピーチなどを、さらにいくつも合わせて、しかも
正しい順序で再生するメディアだ。これは
マルチメディアとよばれている。この科目では、その具体的な例として、世界で最もよく使われている
[QuickTime](=クイックタイム)について学習しよう。
電子化された人形アニメーション
以前の映画では、怪獣や災害や宇宙のように、実際に実物を撮影できない情景は、着ぐるみや模型やミニチュアを使って撮影していた。現在では、その多くがコンピュータでシミュレートされた"実在しない人形"の撮影によって置き換えられている。
"実在しない人形"は、
コンピュータグラフィックスに関するいろんな技術を結集することによって実現したが、このために確立されてきた技術のうち、この単元で、特に問題にしたいのは、
"実在しない人形"の運動をどう表現するか、という点だ。一つの例として、先生がソフトウェア[Strata3d]を使って実際に運動を組み立てていくのを見せるので、複雑な運動を表現するために、どんなことがらがどう組み立てられているのか確かめよう。
応答する絵本
辞典や絵本などの、これまでなら印刷を媒体として実現されてきた表現が、CDとして実現されることが増えてきた。その理由の一つに、読者に
もっと多くの操作を提供していくには、こうした新しい媒体が適しているからだ。
先生がCDとして出版されている辞書や絵本がどう読めるようになっているか実際に見せるので確かめておこう。また、このような表現を作り出すための道具として使われているソフトウェアの一つとしてよく使われている
[HyperCard]を使って見せるので、実際にはどうやって応答を組み立てていくのか確かめよう。
[QuickTime]
[演習]
コレオグラフ
・
盆踊りやフォークダンスなどの振りつけの決まっている踊りを一つ選んで、その
コレオグラフを描きなさい。
コレオグラフの形式は自分で工夫して設計しなさい。少なくとも、それにしたがって踊れば決まっている振りつけが再現できるだけの情報が盛り込めるようにしなさい。
さらに、実際に描けた
コレオグラフの表現を分析して、そこで使った
コレオグラフの描き方の規則を、ほかの人も使えるように整理して説明しなさい。
・
自分で考えなさい
・
報告例
小峯千枝
大きさでの有利
・
パフォーマンスから生成できるようなムービについては、ムービと、もとのパフォーマンスとでは、一般にパフォーマンスの方が容量が少なくてすむ(または品質を落とさないですむ)。それはなぜか説明しなさい。
太陽が画面の左下から昇って右下に沈む切絵ふうのアニメーションの場合などを例にして、そのムービとしての表現とパフォーマンスとしての表現とを書き比べて示せば説明しやすいだろう。
・
自分で考えなさい
速さでの不利
・
パフォーマンスの再生にはレンダリングが必要になる。このことに注意して、容量が少なくてすむのに、これまでウェブやゲームのソフトウェアのオープニングなどでは、動く画像を表現するのに、(パフォーマンスとして表現できるような内容のものであっても)パフォーマンスではなくムービが使われてきたのはなぜか説明しなさい。また、それが最近ではどのように変化してきているか調べて説明しなさい。
・
自分で考えなさい
MPEGとの関係
・
以前の単元で学習した
MPEGでは、
前のフレームがずれただけの部分は節約するという手法で圧縮を行っている。実は、この手法は、パフォーマンスの中の、スプライトの運動を表現するのと、よく似ているところがある。
この二つの手法には、考え方でどんな関係があるか考えて説明しなさい。それぞれの互いに対応しているところを照合しながら説明するといいだろう。
・
自分で考えなさい
[AVI]
・
AVIは、パフォーマンスを表現し、ファイルに記録するために、
[QuickTime]の代わりになるものとしてウィン機のために特に開発された規格だ。これについて調べなさい。
資料[AVI]にAVIの簡単な解説がある。まず、これを見て、AVIについて学習しなさい。その上で、さらにほかの資料を探して調べてみなさい。
たとえば、AVIのしくみや、はたらきや、使われ方、
[QuickTime]との違い、などのテーマを自分で決めて調べてみなさい。
・
自分で資料を探して調べなさい
コンピュータの知識が少しは必要
HTML+TIME2
・
HTML+TIME(およびHTML+TIME2)は、ウェブの内容や形式を記述するための形式の一つで、時刻によって変化する表示を書き表すことができる。
資料を探してHTML+TIMEの使い方を調べ、HTML+TIMEの機能が役立つようなウェブを工夫しなさい。そして、そのウェブの機能と、HTML+TIMEを使ったらそれがどう書き表せるか説明しなさい。
・
自分で資料を探して調べなさい
コンピュータの知識がかなり必要
△
< |
>
Copyleft(C) 1997-01, by Studio-ID(ISIHARA WATARU). All rights reserved.
最新更新
01-05-02