資料シート●情報処理

報告
Windows MacOS unix
Windowsの歴史

宗内佐代子
(02年度受講生)

http://www.infonet.co.jp/apt/March/syllabus/Literacies/computer/gallery/Muneuti.html




 宗内さんの学習にはいい所が二つあります。一つは、きちんと調べたり考えたりしていることです。もう一つは、分かりやすく伝えられるように工夫がされていることです。

 しかし、宗内さんの学習にはあまりよくない所も二つあります。まず、宗内さんの報告では、三つのOSを比較する統一的な観点をはっきり決めていません。そして、使う人が多いか少ないか(それもパーソナルコンピュータで調べているのかコンピュータ全般で調べているのかはっきりしていません)だけを比べています。まるで多かったらそれがいつもいいみたいです。
 これからこの課題の学習に取り組もうと考えている人は、比較の観点をはっきり見極めなければいけません。とは言っても、OSにどんな属性があるのか知らなかったら、その中から観点になりそうな属性を選ぶことはできません。概論の学習を通じて、OSにはどんな属性があるのかしっかり理解してください。
 また、宗内さんの報告では、それぞれのOSの受け入れられ方についても、その理由についても、初めから一言にまとめられた形で書かれています。これはあまりいいことではありません。たとえば、受け入れられ方について述べるのなら、どこが多いとかどこが少ないとか述べるだけではなくて、どれは何年に何人が使っていたという数値などを具体的に示すことが必要です。
 そのほか、所々に情報が正確でない点や、表現がうまく選ばれていない点がまだ残っています。でも、それは学習が進むにつれて自然に改善されていくでしょう。
 これからこの課題に取り組む人は、宗内さんの成果を参考にするだけではなく、この二つの点にも注意しなさい。

 今日私たちがよく使うOSといえばWindowsであろう。少なくとも、私がパソコンを使い始めたときにはあたりまえのようにWindowsを使っていた。では、いったいなぜこんなにも広く普及していったのだろうか。

 まず、Windowsの発展の歴史について、機能の特徴もみながら眺めてみたい。

 1981年、IBM社がビジネス/パーソナル用途向けのコンピュータシステム IBM-PC を発売するのだが、そのOSとして登場したのがMicrosoft社の MS-DOS であった。このMS-DOSこそが現在のWindowsの前身である。
 IBM-PCは仕様を公開したオープン-アーキテクチャであったため、数多い互換機の登場を促し世界中の標準的な規格となった。それと同時にOSであるMS-DOSも普及していったが、操作するのに文字でコマンドを打ち込まなければならなかったため、現在のように気軽に使えるものではなかった。
 そこでMicrosoft社はGUIを取り入れたWindowsの開発にとりかかり、1985年 Windows1.0 の登場に至る。しかしこれはウィンドウを一枚一枚並べて表示するタイリングウィンドウ方式の使いにくさや対応アプリケーションの少なさから、ほとんど広まらなかった。そして1987年にウィンドウを重ね合わせて表示するオーバーラップウィンドウ方式を導入した Wndows2.0 が発売される。この頃、コンピュータ(▽)の動作モードにはリアルモードとデータを破損しにくいプロテクトモードというのがあったのだが、Windows2.0ではまだプロテクトモードを活用しきれていなかった。

 コンピュータということばはいろんな意味で(ここではCPUの意味で使っているんだと思いますが)使われるので、うっかり使うと意味の食違いが起きるということを、この単元では学習したはずです。こういう精密な文脈では、意味がもっと狭い別の術語を使うようにしなさい。
 この文全体では、"この時期のパーソナルコンピュータで使われていたCPUには、誤動作しにくいOSを実現するためのプロテクトモードという機能があったのだが"と表現した方が、意味が正確に伝わるようになります。

 その後 Windows286 、 Windows386 が発売され、1990年、プロテクトモードを活用できる Windous3.0 が発売された。このバージョンで実用面の著しい改革がなされ、1992年発売の Windows3.1 でさらに安全性が拡大されて、Windowsのシェアは大きく広がっていった。しかし、Windous3.1までのバージョンは正確にはOSではなく、MS-DOSというOSの上で走行させるアプリケーションに過ぎなかった(▽)

 Windows3.1までの Windowsは、確かにMS-DOSと組み合わせて使うように作られていましたが、その機能は説明にもあるようにビジュアルシェルでした。シェルはOSの一部と見なされることが多いですから、これを"アプリケーション"と呼ぶのは適切ではないと考える人もいるかもしれません。
 代わりに、"OS本体とは独立して提供されるシェルの一つ"と書いた方がより正確でしょう。

 Windowsが晴れてOSに昇格したのが Windows95 である。ここで今のパソコンブームが巻き起こり、 ダイヤルアップネットワーク (▽)や Internet Explorer などの存在がインターネットブームを巻き起こした。

 "ダイヤルアップネットワーク"というのは、ふつう"ダイヤルアップ方式によってインタネットとの接続をサービスするプロバイダ"と呼ばれるもののことでしょうか?
 術語(専門の分野で使われる語句)らしい語句を使う場合は、術語集を引いて、通用する(=載っている)語句か、正しい意味で使えるか確かめてからにしなさい。

 その後、1998年に Windows98 、2000年に Windows Me と続くがこのラインナップはここでひとまず幕を閉じる。晴れてOSとして独り立ちしたとはいえ、古い機種から新しい機種への互換の問題のため、Windows9xシリーズではMS-DOSの影が色濃く残っていたからだ。そこでMicrosoft社はWindows9xの開発の一方で、まったくゼロからのOSの開発にとりかかった。そして発売されたのが1993年の Windows NT3.1 である(▽)。 そこから 同3.5 同3.51 同4.0 と続く系列が生まれた。

 こちらと Windows95の系列とはどう違うのか説明しておかなければいけません。

 こうしてMicrosoft社は2系統のWindowsを持つことになったのだが、その統合を試み、ついに現在の最新バージョン Windows XP が登場した。WindowsXPのすごい(▽)ところはネットワーク経由で他のパソコンにログインできるところだそうだ。そこのところはまだよくわからないが、これからもどんどん統合の方向へ向かっていくことだろう。

 XPは"ネットワーク経由で他のパソコンにログインできる"という点については特に"すごい"わけではありません。MacOSやunixは初期のバージョンですでにこのような機能を備えていたし(または他社の製品がそれを補っていたし) Windows にしてもNTはこの機能を備えていました。
 このような表現は、"ネットワーク経由で他のパソコンにログインできる" OSがほかにはなかったという場合なら使ってもかまいませんが、この場合はほかの表現を使うべきでしょう。
 そもそも宗内さんは、Windows XP 以外のこれらのOSについて、ネットワーク経由で他のパソコンにログインできるようになっていたかどうか確かめましたか?このような書き方をする場合は、ほかのものでもそうなのかそうではないのかが大切ですから、そこは必ず調べてはっきりさせておきなさい。

 このように、Windousは発展してきたわけであるが、なぜWindowsだったのだろうか。MacOSやunixと比較して考えていきたい。

 GUIがPCに取り入れられ始めたころ、Windowsのほかにアップルコンピュータ社のマッキントッシュがでていた。初めて発売されたのは1884年、Windows1.0が発売された一年後のことだ(▽)

 最初の方でWindows1.0は95年だと書いてありましたから、"後"ではありませんね。

 当時GUIとしてどちらが優れていたかといえば、マッキントッシュのほうであろう。これは私の記憶によるものであるが、Windows95がでるまではマッキントッシュのほうが主流であったように思われる。ではなぜWindowsのシェアがこんなにも大きくなったのか。それは互換性の問題である。Windowsは独立したソフトウェアであるため、ある程度の規格を満たしていればさまざまな機械で使うことができた。それに対し、MacOSの場合、OSとハードウェアがいっしょになって実現された環境であったため(▽)、他の機械では使うことができなかった。だからバージョンアップのときもいちいち機械を買い換えねばならない。そういった閉鎖的な面がWindowsの開放性に勝てなかったのだろう。

 この説明は正確ではありません。技術的には、他社のコンピュータ本体と組合せてMacOSを使うことは可能なのです。たとえば、VAIOでMacOSを使っている人もいます。MacOSを提供しているAppleが、Macintosh以外のコンピュータでMacOSを走行させることに対して制限をつけているだけなのです。
 また、ここでは、"互換性"という術語が正確に使われていません。宗内さんの表現だと、OSが同じなのにコンピュータが違えば機器やアプリケーションが使える場合と使えない場合とがあるということになってしまいます。前にも言ったように、MacOSはもともとほかのコンピュータでは稼動できないので、こうした問題は起こりません(それ以前の段階と言えなくもないですが)。
 この部分は、代わりに"利用可能環境の制約"と表現した方がいいでしょう。

 ではUNIXと比べるとどうだろうか。UNIXはWindowsなどよりも早くから販売され、1975年頃から世界中の大学や研究機関に非常に安価な値段で販売され、ものすごい勢いで普及した。UNIXはC言語を使うOSであったため、同時にCのプログラマーも飛躍的に増大した。
 UNIXは移植性が高く、普及しやすかったはずであるが、まずもともとのターゲットがパソコンでなかったことが現在のWindowsのシェアにいたらなかった原因であろう。それからUNIXはバージョンアップしていくのだが、後にAT&T版とBSD版の二つを大きな源流としてわかれてしまった。この二つが統合されたのは1993年になってからである。また、パソコンが発展してくると、パソコン上でUNIXを動かそうという動きもいろいろ出てきたが、著作権問題などからうまく広がらず、本家UNIXは敬遠されがちになっていった。つまり、UNIXは発展における統合性にかけており、やはりWindowsのシェアにはもっていけなかったのだといえるだろう(▽)

 この段落の後半はあまり自信がなさそうですね。もっと時間をかけて考えなさい。
 "まずもとの"からあとの部分の内容は、説明に無理があります。"パーソナルコンピュータはWindowsやMacOSが最初からインストールされた状態で販売されるようになっていたので、その代わりにunixを使おうとする人は少なかった。"というのが説明としては素直でしょう。

 以上の事柄をまとめると、Windowsは互換性を重視しながら少しずつ発展していき統合性を生み出してきたがゆえに、今日のようにパソコンのOSの大部分を占めてきたといえるだろう。またビジネスレベルにも個人レベルにも使える、といったより多くのユーザーの希望に答えた更なる統合をこれからも続けていくのだろう(▽)と思う。

 XPでWindowsは1種類だけになりました。統合は完成してしまったわけですから、"統合をこれからも続けていく"というのはおかしいですね。
 この段落はちょっと演説みたいな内容になってしまっています。論文を書く場合は、ほかの人たちの自由な思想や行動を尊重することが大切ですから、演説をしてしまわないように注意しなさい。

日本マルチメディア-フォーラム(企画+監修)、マルチメディアの現状と展望'98 サイバーワールドの幕開け、株式会社産業調査会事典出版センター(東京)刊、1998、p.877〜881



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情報処理コンピュータWindows MacOS unix
を履修した学生(本文に記載・敬称略)が学習の一環として制作したものです


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