[左耳の精霊]
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基町河岸公園


 遠景。鬼山と御影、少し距離を置いて歩いている。

鬼山「...まだ先なのか?」

御影「計画は進んでるみたいですけど...」

鬼山「移転後は?」

御影「...(首を横に振る)」

鬼山「そうか...」

御影「...マンションには何度か電話したんですけど...」

鬼山「4・5日帰ってない。連中がうるさくてな。7型機の資料は?」

 御影、ノーラベルの黒のデータフロッピーを鬼山に渡す。

御影「キヤマさんの言われた通り、Bクラスのセキュリティでしたから、私のIDで比較的簡単に...」

鬼山「あぁ、わかってる」

御影「...」

(御影、自分が利用されていることに、薄々気付いているが、認めたくはない)

鬼山「しばらく消えるよ」

 立ち止まる御影の足だけのショット。

御影「どこへ?」

 鬼山の背中だけのショット。

鬼山「...また連絡する」

 鬼山、逃げるように立ち去ろうとする。

御影「キヤマさん、わたし...」

 鬼山、立ち止まる。その反動でポケットの銅鈴がかすかに鳴る。シャリン。

御影「...」

 鬼山、無表情のまま、無言で立ち去る。
 残された御影の後悔を含んだ醒めた表情。

水樹の声「死人が消える?」



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98-09-10