戻る 光ファイバー   (Optical Fiber)

光ファイバーといえば 胃カメラ などをまず連想しますが、 体の中の、胃の内部がはっきり見えるのは本当に不思議です。

glass in water 光は、屈折率が高い物質から低い物質に進もうとする場合に、ある角度(臨界角)以上の角度で入ろうとすると、 境界面で全部反射される性質を持っています。

これを 全反射 といいます。

左の写真はガラスのコップを逆さまにして、水中にそっと沈めたものです。 コップの中味は空気です。
コップは透明ですが、水*1 も ガラス*2 も 空気より屈折率が大きいので、光はコップの壁面で全反射して、コップを持つ手を 鏡のように映しています。 全反射の身近な一例です。

光ファイバーは、この光の性質を巧みに利用したものです。

光ファイバーは、石英で出来ている屈折率の高いコアと、 屈折率の低いクラッドとの2層構造になっています。 コアの部分に光を照射すると、ファイバーを曲げても コアとクラッドの境界面で光が全反射するため、光が外に漏れることはありません。


通信に使用するファイバーには MMF (Multi Mode Fiber) SMF (Single Mode Fiber) があります。

MMF (Multi Mode Fiber)
multi mode fiber
MMF は、コアの径が 50μm (0.05mm)、クラッドの径が 125μm (0.125mm) のものが一般的に使用されています。
上図の通り、いろいろなモードの光が コアとクラッドの境界面で反射しながら伝搬するため、モード間の伝搬時間に差が生じます。 瞬間的なごく短時間の光信号でも、次第に信号の形が崩れるため、 長距離伝送には向いていません。通常 2km 程度までの伝送に使用されます。
反面、コア径が大きいため、発光素子との光の結合効率がよいという特徴があります。

SMF (Single Mode Fiber)
single mode fiber
SMFのコア径は 9μm (0.009mm。なんと、1/100mm より細い!) です。
単一モードの光だけを伝送するので波形の乱れがありません。 長距離伝送に向いていて、40km 程度の伝送ができます。
コア径が小さいため、発光素子との光の結合効率は悪くなります。

光ファイバーを使用した光通信には、

  1. 伝送容量が大きいため、高速データ伝送が可能。
  2. 電気的なノイズを受けない。
などの特徴があります。


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*1, *2 水の空気に対する屈折率は 約 1.33  ガラスの空気に対する屈折率は 約 1.5 です。


update; 2001.08.22  address