資料シート●各科目

対数

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対数


 数の大きさは桁数によって示すことができる。ただ、日常的に使われる桁数は、細かさが足りない。たとえば、10から99までの数はどれも2桁で同じだけれど、10は2桁と言ってもその最初だし、99は最後だから相当に違いがある。この違いが区別できるようにもっと細かく分けたものを対数という。
 数の桁数は、何進表記かによって違うから、対数も10進か2進かによって違う。この値を対数の(てい)という。コンピュータ科学では2進対数、つまり2を底にする対数をよく使う。

 数学では2.718...を底にした対数を使う。2.718...を自然底といい、eで表わす。自然対数は性質が自然できれいなので、対数の性質を調べるための代表としてちょうどいいからだ。

 対数は、底を何乗したらその数になるか、という値として決められている。つまり、(底がaの場合)xの対数がyだということは、



であることを意味する。
 この決め方は単純で分かりやすい。たとえば、上の条件の式から、対数と複乗とはちょうど反対だということが分かる(▽図)。

100 −(対数)→ 2
100 ←(複乗)− 2
(底が10の場合)

 ただし、残念なことに、対数は日常的な桁数とは少しだけ食い違っている。大まかに言って、対数は桁数より1だけ小さい。たとえば、10〜99の(10進)対数は、2ではなくて1.??になる。

 10進の場合、対数は、桁数そのものというよりは、"0の数が一つ多い"とか言う場合の"0の数"のことだと思った方がいいかもしれない。
 この問題も、数を0から数えるか1から数えるかという問題(資料[数え始め問題])と深い関係がある。

 対数は "log" の右下に底を添えて表記する。たとえば、16の2進対数は


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と書き表わす。


対数の求め方


 対数の意味は、何かの計算の結果として決められているわけではない。だから、この意味づけ方からでは、それぞれの数の対数を計算によって具体的に割り出すことは難しい。
 さいわいなことに、対数については


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などの性質があることが分かっている(ともに 0<x の場合)。対数の近似値は、これらの性質を使って算出されている。


対数計算法


 掛け算、割り算、n乗、n乗根などを計算したい場合、その代わりに対数を使えば、掛け算は足し算で、n乗はn倍で計算できる(▽図)。


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もともと
求めたいもの
対数の側で
求めるもの




n乗
n倍
n乗根
1/n倍

 このように、対数で計算することで面倒な計算をそれよりは簡単な計算で済ませてしまう方法を、対数計算法という。

 "対数計算法"とはいっても、対数計算する方法ではなくて、対数計算する方法だから間違わないようにしよう。
 昔は本人の代わりに人形に釘を打って呪いをかけたりすることがあったようだけど、対数計算法もそれとちょっと似ている。

 対数計算法は、電卓やコンピュータが登場するまでは、計算の技法としてよく使われていた。
 さらに、この手順を器具の操作に置き換えてしまって、全く計算をしなくても済むようにしてしまうことも工夫された。こうして作られたのが計算尺(▽図)だ。



数学


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03-10-22