資料シート●各科目

ホムンクルス
homunkulus

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ホムンクルス

鈴木友音
(99年度履修生)

 ホムンクルスとは、人間に似せて作った疑似生命体(シュミュラクラ)のことである。人間と寸分違わないものから、怪物のような姿をしたものまで、さまざまなものがある。その概念の本質は、人間が作り出す、自分の子孫以外の生命体である。
 伝承の中では、ホムンクルスはあらゆる知恵を身につけて生まれてくる。 純粋に魔法によって生み出されるのだが、発生と生存の場であるフラスコなどの容器から出したために、死なせてしまうという話が一般的のようだ。
 神ならぬ人の手で、ホムンクルスのような一つの生命体を作り出す行為は、自然に反する邪悪な行いとされることが多い。伝承の結末も、このような意識によって規定されたものと考えられる。

 近代より前の時代には、人の発生や感覚のしくみを説明するために、精子や耳の中に小人がいるという解釈がなされることがあった。この小人が成長して胎児になるとか、音を聞いてくれている、という説明が可能になるからである。この、代理としての小人は、まさにホムンクルスを連想させる。
 それはさておき、ホムンクルスが人間の変わりに音を聞いてくれているとすると、彼自身はどうやってその音を聞いているのだろうか?ホムンクルスの体内にもまたさらにホムンクルスがいて音を聞いているのだろうか?これでは何も説明したことにならない。
 さらに、ホムンクルスはどうやって人間にその音を伝えてくれるのだろうか?
人:ホムンクルスよ、あの人がなんと言っているのか聞いてくれるか?

ホ:おはようと言っているよ。
 このような会話は、人間自体は耳が聞こえないことになっているので成立しない。では、聞いた内容を紙に書いて伝えるのだろうか?だが、目もホムンクルスが代りに見てくれているので、その紙の内容は、人間ではなくホムンクルスが見るということになる。であるから、ホムンクルスが聞いた内容を人間に伝える手段は成立しないのである。
 このように、何かのシステムを構成する核心の要素として、そのシステム全体と同等のものを採用することによって、本質におよぶ議論を回避しようとする議論は論理の循環を生じてしまう。


ホムンクルス

阿久戸義愛
(99年度履修生)

 ホムンクルスは、ゲーテの悲劇[ファウスト]第2部に出てくるガラスの容器の中の生命体として有名である。
 中世のドイツの錬金術師パラツェルズスによると、人間の精子をガラス器に密閉しておくと、やがて生気が発動して動くのが見える。それは透明で、肉体と実存を備えていないが神秘的な知恵を持っているという。パラツェルズスは著作の中でこの生命体をホムンクルスと名づけた。
 以来、ヨーロッパでは、錬金術で人工的に作られた人間をこう呼んでいた。ゲーテも彼らから着想を得たものと思われる。
 錬金術は黄金を作りだす技術の追求を中心とした一種の自然学である。錬金術では、そのほかにも生命の神秘に関する研究も行なわれていて、その対象の中には不老不死の薬などもあった。とりわけ、生命の創造は神のみに許された行為であると考えられていたため、ホムンクルスを作りだすことは神の領域に人間が足を踏み入れることを意味していた。



このページの記事は、科目[情報処理]を履修した学生たち(記事中に記載)が、単元[コンピュータ]の課題[体内の小人のモデル]の学習の一環として作成した著作物をもとに構成しました

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