資料シート●各科目

怪獣の名前はゴン

http://www.infonet.co.jp/apt/March/syllabus/bookshelf/G/gon.html



 映画やTVには多くの怪獣が登場する。新都庁を壊したりウルトラマンとバトルを繰り広げたりしている。

 こういった怪獣の名前には、なぜかいくつかの決まった形式があるように思われる。その中でも最も怪獣的なのは、"××ゴン" という形式だろう。

 ゴンのおもしろいところは、一般の単語のあとにくっつけるだけで、それを怪獣にしてしまえることだ。だから、"ママゴン"とか"カバゴン"(消えたねぇこの言い方)のような新語を作るのにはとても便利だ。"ヒバゴン"のように、実在(?)の怪獣の名前さえ同じようにしてつけられてしまうほどだ。

 ところで、そもそも実際に怪獣の名前は "××ゴン" なのだろうか? たとえば、TVの[ウルトラQ]シリーズにはナメゴンとかカネゴンなどの怪獣が登場しているから、少なくとも全くいないというわけではない。一方、"ゴジラ" のような "××ラ" の形式の名前もそこそこ使われている。ほかにモンとかドンもいたはずだ。

 このことについては、比率としてどのくらい多いのか確かめておく必要がありそうだ。1割ぐらいのゴンがいれば、怪獣の名前には "××ゴン" が多いと言っていいのではないだろうか。

 このように、反対の意見/事実があるのならそれも受け入れて、思いついたことがらの意味をもっと厳密に言い直していく作業をしてください。

検証A:
 ゴジラの東宝、ガメラの大映ほか各社の怪獣映画に登場する怪獣の名前を調べてみることにする。

 資料[怪獣映画史年表](http://www.h2.dion.ne.jp/~magara/nenpyou.html)を見せてもらおう。オーソライズされていない資料だし、[マタンゴ](63年)が欠けていたりするけれど、割合いを調べるのに使うぐらいなら信頼して使ってもいいだろう。この資料によると、何と、平成ゴジラ以前には名前がつけられた怪獣が約50種類いたが、そのうちでゴンは[フランケンシュタイン対地底怪獣](65年)のバラゴンと[ガメラ対バルゴン](66年)のバルゴンの2種類しかいない。
 約50に対して2では割合いとしても期待していた1割を切っているし、2種類だけではほとんど単数と言っていい。

 資料の内容を紹介する場合は、読み取った情報を、自分が書いている文章の前後のつながりに合わせて、自分の表現(=書き方)で1〜2行ぐらいで書きなさい。
 原則として(=資料の著者による表現を紹介しなければならない場合を除いて)、書いてある記事をそのまま書き写してはいけません。資料の著者の著作権を守っていないことになるし、試験の代わりに提出を求められるレポートではカンニングとして扱われて大学から罰を受けることになります。それに、きみたちには、きみたちの文章の読者の代わりにその資料を読んで説明してあげる義務がありますから、その義務を果たさなくてはいけません。
 もちろん、資料を見れば分かるからと言って、資料に書いてあった情報(というより自分が得ることができた情報)を何も紹介しないというのもいけません。

検証B:
 怪獣が大量に発生したのはウルトラシリーズなどTVシリーズを中核として怪獣ブームが起ったためなので、TVでは違う結果が出るかもしれない。この時期の怪獣が登場するTVシリーズのすべてについて、Aと同じようなチェックをしてみることにする。
 このあとも怪獣は登場し続けるけれど、最初の怪獣ブームの時期までに限定しておかないと、厳密な数値を出すことは難しそうだ。
 ウィキペディアの資料(これもオーソライズされたものではないのであくまで手掛かり)で調べてみる。


タイトル 名前のついた怪獣 ゴンで終わる怪獣 ゴン率
ウルトラQ 24 3 12.5
ウルトラマン 44 0 00.0
キャプテンウルトラ 13 3 23.1
マグマ大使 18 2 11.1
悪魔くん 5 3 60.0

 この時期の怪獣もののTVシリーズでは一般に、どのシリーズでも([ウルトラマン]だけを例外として)、1〜2割の怪獣の名前にはゴンがついていたことがこれで分かる。
 TVシリーズで最初のゴンはナメゴンである。映画の怪獣のバラゴンが、傍役の怪獣ではあるが、(公開では)ほんの少し先行していた。

 [キャプテンウルトラ]と[悪魔くん]がゴン率が高いが、どちらも東映の作品であることが気になる。また、どのシリーズでもゴンはたかだか3種類しか登場していないが、これは、あまり怪獣をゴンにしないように気をつけていたからなのかもしれない(根拠はないけれど)。

検証C:
 怪獣ブームの時代は、"××ゴン" という(しばしば怪獣のようなパワーを表す)あだ名がよく使われた。公けに知られているカバゴン=阿部進(教育評論家)のほか、ママゴン/ババゴン(子どもに干渉したがる母親)、ケチゴンなどが悪口の定番としてよく使われていた。
 この事実は個人的な体験としてははっきり覚えているけれど、安全のためには(カバゴンは間違いないとして)当時の雑誌などの文章で確認しておく必要があるだろう。

 いろいろ調べてみて、もとの疑問は、そのままでは事実とは異なっていることが分かった。しかし、これを言い直して、"ゴジラ直後の怪獣映画の時代にはゴン怪獣はほとんど登場していなかったのに、怪獣ブーム時代のTVシリーズにはゴン怪獣が多かった" とすれば、事実ととして主張できる。

 このように、テーマについて調べているうちに、疑問の形式が "なぜ○○は●●なのだろう" から "なぜ□□は■■なのに○○は●●なのだろう" に変化しているのに気づくことがあります。
 疑問が、もとの形式から、あとのような "なのに"で繋がった形式に変化するのは、とてもいいことです。この変化によって、疑問を解く手がかりが、□□と○○との違いにあることがわかるからです。(もっとあとの段階でのことですが)説明もやりやすくなります。

 石原の場合は、以上の作業に、約2時間かかりました(これからあだ名のことを調べるのでもう少しかかると思いますが)。
 みなさんも試してみてください。




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