IBMは64年にEBCDICを発表した。これは、7ビットの長さのビット列でABCや数字に符号を割り当てるもので、それまで使われていたBCD(またはBCDIC)を拡張するものとしてEBCDIC(<Extended BCD Interchange Code=拡張BCD交換符号)と名付けられた。BCD(<binary coded decimals=2進符号化された10進数字)はたった4ビットの長さのビット列によって"0"〜"9"の数字だけを表現するために作られていた(むしろ、当時はキャラクタではなくて
数を表現するための規約だと見なされていたらしい)。EBCDICでは、ビット列の長さを2倍にして、そこに大小アルファベット、区切り記号、制御命令を追加した。
EBCDICはIBMの大型コンピュータのOSや、それと互換に作られた各国のOSで標準の(したがって当時は世界の商用のコンピュータの標準の)符号として、少なくとも、85年ごろまでは盛んに使われていた(今でもそうなんだろうか?)。現在では、パーソナルコンピュータやunix(=ユニックス)がそれらに取って代わってしまったということもあって、全体としては
ASCIIをもとにして作られたISO符号などの方が主流になっている。
EBCDICはいくつも欠点があった。特に、アルファベットについている符号が途中で飛んでいるので、ABC順に情報を処理させるのが難しいことが問題だった。
日本では、EBCDICにかたかなを追加したEBCDIK(=同じくエビスディク、またはエビスディケ/エビスディかな)が使われた。ところが、かたかなを追加するために小文字の符号をほかにずらしてしまった(厳密なEBCDIKではそもそも小文字には符号を与えていなかった)ので、ふつうの文章を海外とやりとりすることができなくなってしまった。しかも、OSによって小文字の符号の割り振り方が違っていたので、国内でのやりとりでも違うメーカのコンピュータでは文章が狂って復号(符号からもとの情報を復元すること)されることになった。EBCDIKの読み間違いは、ちょっと見ただけでは気がつかないので、大きい問題になっていた。