科目解説書
[コンピュータアニメーション入門]
担当:石原亘
Q&A
http://www.infonet.co.jp/apt/March/syllabus/ShortClass/3D.html
Q 先生は、アニメーションを作る時は、リアルな動き方を追求するべきだと思っていますか?
(ぱっくんちょ)
A リアルな動き方をさせることにはあんましこだわっていません。
そもそも、ミノフスキー粒子の効果でモビルスーツが空中に浮かんでいる状態を物理学的にリアルに描くなんて誰にもできっこないしね(笑)。 その代わり、"あっ、この動き方ってどこか何か別のもので見たことがある!" と感じるような動き方をアテるようにしたいといつも思っています。
たとえば、アニメーションではありませんが、[臥虎蔵龍](グリーンデスティニー)っていう映画の中に、竹林の中で斬り合いをするシーンがありましたよね。枝の先から先に飛び移って軽々と立つと、枝がかすかに下がります。その下がり方は、もちろん人が乗った時のではなくて、鶴や鷺のような鳥がとまった時の下がり方です。その時、斬り合っている二人がまるで鳥のように見えます。
こんな動かし方が、アニメーションでは最上だと思います。
Q 先生がアニメーションを作る側から教える側に移って来たのはなぜですか?
(ぱっくんちょ)
A 実は、"移ってきた"わけじゃないんです。
わたしは大学院を修了するのと同時に、そのまま大学の教員になりました。そして、そのまま今までずっと、作る+教えるを同時にやってきたんです。
教えることって、作ることのまた一部だと思います。なぜかと言うと、一人で作れるアニメーションには限りがありますが、教えて育っていった人が作家になって作品を作ってくれたら、もっとたくさんのいい作品が生まれていくからです。
それはそれとして、なぜ大学の教員なのかということも、ちょっと話しておこうと思います。
TVシリーズや長篇映画のアニメーションを作る人は、TVや映画の会社から資金をもらうことができます。でも、わたしはそれとは違う(=たとえばもっと短いとか)フォーマットのアニメーションを作りたかったので、資金を出してくれる人が見つけられませんでした。だから、アニメーションを作り続けていくために、何かして働いて資金を集めようと思いました。そのために一番いい仕事は、アニメーションを教える教員になることでした。なぜかというと、これがもしほかの職業だったら、"ギャラをもらうんだったら、アニメーションなんか作ってないでその分も会社の仕事をしろ"って言われてしまうことがあるからです。それで、教員になりました。
これはほかの作家の方たちの場合でもたぶん同じです。少なくとも日本では、TVや映画以外のフォーマットでアニメーションを作っている人たちの多くは、大学の教員としても活躍しておられます。
よその国だと、大学の教員とは違う生き方もあるみたいです。たとえば、カナダには、NFB(<National Film Board)という、作家としてアニメーションを作ろうとしている人たちのための国立のスタジオがあります。また、東ヨーロッパが共産圏だった時期には、その多くの国が国立のアニメーションスタジオを持っていました(民主化された時にほとんどは解体させられてしまったようですが)。
Q コンクールがあるそうですが、年間にどのくらい開かれているんですか?
(ぱっくんちょ)
A 映像全般(=アニメーションには限らないで)のコンクールだと、週に一回は、そこそこのコンクールが日本のどこかで開かれているといわれています(もっと小さいのも含めるとたぶんその何倍も)。
その中でも特に押さえておきたいのは、[ぴあ]のPFFと[イメージフォーラム]のIFFです。水戸で開かれる水戸短編映像祭のコンクールも、全国的によく知られています。
Q アニメーションを作る時に心がけていることは何かありますか?
(ユウ)
A 作業が進んでいくと、最初にやりたかったこととは違うことなのに、楽にできることをついやってしまっていることがあります。だから、いつも "これがほんとうにやりたかったことだったっけ?" って確かめながら作っていくことが大切だと思っています。
どんなに楽だって、やりたかったのとは違うことのために時間を浪費するなんてもったいないもんね。
Q 一つの作品を作るのにはどのくらい時間がかかるんですか?
(ユウ)
A 初めて自分で作ったアニメーションは、高校の時の10分ぐらいの作品(完成したあと少しずつ長くなったけど)でした。この時は、完成させるのに、ちょうど1年かかりました。もちろん、ちゃんと授業に出て寝たり食べたりの時間がこの中には含まれていますが。
絵を描くのにかかる時間だけでいうと、わたしの場合は1時間で4枚ぐらい描きます。何がどう動いているのか分かるようにアニメーションを作るのには、少なくとも8枚/秒の絵が必要とされているので、1秒の絵を描くのに2時間かかっていることになります(実際には1枚の絵を繰り返して使ったりすることもできますが)。
コンピュータを使えばもっと速く描けると思っている人が多いみたいですが、たぶん実習で体験したように、速くなるのはレンダリングだけで、そこまでの仕事に必要な時間はほとんど短縮されません。
撮影にかかる時間は1秒に対して1分ぐらいです。これも、手でやるかコンピュータでやるかによってそれほど違いません。
ただ、アニメーションに限らず、何か作品を作るっていうのは、作り始めるまでの時間がなかなか長いんですよね。その長い時間のどこらへんから数えるかによって、答えは違ってくるので、これってなかなか難しい質問です。
Q アニメーションを仕事にしようと思ったきっかけは?
(ユウ)
A 70年の大阪万国博覧会で、[アコ](監督:松本俊夫)という映像作品を見て、"こんなのをもっとたくさん作りたい" と思ったのがきっかけです。
Q アニメーションを仕事にしていてよかったと思ったことは?
(ユウ)
A 作品が一つ完成するたびにいつも、やっててよかったなぁって思います。
Q アニメーションを作っていて難しいことは何ですか?
(H.Y.)
A 脳内ではすっごく魅力的だったのに、実際に描いて動かしてみたら、平凡でしょぼくれになってしまっていて、どこが間違ってこうなったのか分からないことがよくあるんですが、その違いを見つけるのがとっても難しいです。
こんな時は、いろいろ試してみるしかないんだよね。
Q コンピュータを買ったら、きょうの実習で使ったソフトウェアはついてきますか?
(A.Y.)
A ついてきません(^o^)。
実習で使ったソフトウェアは、Strata3d(ストラタ-スリーディ)といいます。コンピュータとは別に買ってくださいね(アルバイトしないと買えない値段だけど...)。
Q 卒業してアニメーションの仕事についた人ってどのくらいいますか?
(A.Y.)
A これまで20年ぐらい、ずっと映画や写真を教えてきたけど、そのうちアニメーションで就職した卒業生というと、平均したら年に1〜2名ぐらいです。
A.Y.さんも、ぜひその"1〜2名"のうちの新しい一人になってください(^_^)。
Q アニメーションというのは、たくさん学べば学んだ分だけ実力がついていくものなんでしょうか?
(ぱるる)
A なります。
芸術の世界では、"学ぶ"っていうのは、作品を制作して発表することです。だから、ぱるるさんもいい作品をたくさん作ってください。
Q 3Dの技術を修得するのにはどのくらい時間がかかるものですか? また、そのために大切なことは何ですか?
(ぱるる)
A 技術だけなら10時間ぐらいトレーニングをすれば完璧にマスターできます。
ただし、技術は創作のために必要ですが、それだけでは作品は作れません。これはちょうどピアノの使い方(=キーを叩けば音が出る)を知っているのと、作曲ができるのとはむちゃくちゃ違うということとよく似ています。技術しか持っていない人は、操作係りとして働くことはできると思いますが、アニメーションやイラストレーションを描くことはできません。
Q 思ったとおりのアニメーションが作れるようになるには、どのくらい時間がかかりましたか?
(サカ)
A 実はまだそんな境地にはたどり着けていません(汗)。
でも、実力がグンと伸びた大きな曲り角みたいなものは、これまでに何度かあったような気がします。
アニメーションを始めたのは高校の時でしたが、わたしは、絵を描くことが全然できなかったんです。だから、アニメーションっていっても、抽象画が動くようなのしか作れなくて、それでかなり困っていました。
ちょうど就職して(この時はまだアニメーションとは違う仕事でした)すぐぐらいの時に、[ビッグコミックスピリッツ]という雑誌で、たがみよしひささんの[軽井沢シンドローム]というまんがの連載が始まりました。これが、話しもいいしせりふもいい、それで絵もいいということで、すっかりハマっちゃって、1週間ぐらい、暇があれば、雑誌のページを丸ごと描き写すってことを、ずーっとやっていたんです。そして、ふと気がついてみたら、いつのまにか人物とか風景とかそこそこ描けるようになってたんです。
サカさんも、これからこういう "曲り角の1週間" を何度か体験すると思います。それを繰り返すことによって、きっと思ったとおりのアニメーションが作れるようになっていくはずです。
Q 先生がこれはきれいだって思ったアニメーションは何ですか?
(サカ)
A きれいっていう切り口だと、最近では[彼女と彼女の猫](新海誠)、[メトロポリス](りんたろう)が一番かなあ。この二人の作品は、どれもすっごくきれいですね。
Q ここでアニメーションを学んで卒業したら、アニメーション制作会社に就職できますか?
(M.T.)
A できます。
ただし、採用の時に評価されるのは、実際にいいアニメーションを作っているかどうかです。学歴ではありません。
具体的には、4年間(といっても就職は4年生の夏までに決まるから実際は3年ですが)のうちにどんどん作品を作って、コンクールの入賞を積み重ねておくことが必要です。大学での学習は、入賞のための準備にすぎないことを忘れないでおいてください。
Q 実習で使ったソフトウェアは、背景を描くのにも使えますか?
(M.T.)
A 使えます。
最近の日本のアニメーションでは、キャラクターは手描きしていても、背景だけはきょう使ったみたいなシステムを活用して "描く" やり方がはやっています(あまりきれいではない場合が多いけど)。
ハリウッド映画でも、最近の作品は、ライブ(=実写)として作られていても、背景だけはコンピュータを使ったアニメーションとして作ったのが合成されていることが多いです。実際にその場所に行って撮るのはとても大変だもんね。
Q アニメーションが作れるようなコンピュータは、だいたいいくらぐらいで買うことができますか?
(とみ屋)
A 新品で8万円(本体のみ+モニタほか3万円ぐらい)、中古なら2万5000円ぐらいで買えます。
そのほかに、手描きの場合ならPhotoshopなどの描画ソフトウェア(1万円)、コンピュータグラフィックスで作る場合ならStrata3d(きょう使ったの)などの3Dソフトウェア(学生価格で数万円)を買ってこないといけません。ソフトウェアって意外と高くて驚いたでしょ。
Q 卒業するまでの4年間で、どのくらいまでアニメーションの道を極めることができますか?
(とみ屋)
A どれくらい時間をかけて制作に打ち込むかによって違いますが、これまでの実績によると、たとえば、茨城県が主催しているデジタルコンテンツソフトウェア大賞で入賞できるぐらいの実力は身につけられるはずです。
Q ボールがポンポンと跳ねているように見せたいんですが、どうすればいいですか?
(えさを与えないでください)
A 第一に、物理学的に自然な運動に見せたいんだったら、位置を指定する時刻の間隔をできるだけ長めにすることが大切です。逆に、時刻の間隔を短くしたり不規則にしたりすると、人工的な運動に見せることができます。
たとえば、2秒で下りて上がって来るアニメーションを作るんだったら、1/2秒ずつに分けて、頂上、落ちる途中、地面、昇る途中、頂上(最初と同じ)の四つの時刻の位置を指定するぐらいが一番いいでしょう。
第二に、跳ねている感じを再現するためには、頂上での位置の間隔はとても狭く(でも時間の間隔は一定で1/2秒)、地面の前後での間隔はとても広く指定するようにするのがこつです。したがって、落ちる途中と昇る途中については、頂上と地面のちょうど真ん中ではなくて、頂上からほんの少しだけ落ちたぐらいの所にいるように指定するとうまくいきます。
Q きょう使ったStrata3dでは、何回も同じ所に点を打ったりしてもいいんですか? 変になったりしませんか?
(えさを与えないでください)
A もちろんかまいません。変になったりすることもありません。
上の質問のような場合や、そのほかにも、8の字に動かす場合とか、途中でちょっと止めるような場合なんかには、こういうことがどうしても必要になりますね。
Q アニメーション作家になるための絶対に欠かせない条件って何かありますか?
(キラ)
A ヘタでもつまらなくても、ともかく作品を作っている間は、その人は作家です。だから作品を作り続けていることが、どんな芸術でも、作家であるために絶対に欠かせない条件です。だから、キラくんだって何かアニメーションを作り始めて、それを完成させることができたら、その瞬間から作家と呼んでもらえるようになります。
難しいのは、作家であり続けることです。仕事や家庭のつごうとか、機材がなくなってしまったからとか、疲れてしまったからとか、いろんな理由で、人は作家であることを止めてしまいます。
つまり、作家であり続けるためには、現在の作品を制作しながら、将来の作品を制作していくのに必要なものを確保しておくことが必要です。デビューする前に、その作業を何年分かやり溜めしておくための時間が、実は、大学や専門学校での学習の期間だったんですね。
Q 先生にとってアニメーションって何ですか?
(まぶちもたのすけ)
A 自分が見たいと思ったものを実際に見えるようにするための、最高の手段だと思っています。
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