教育報告

京都造形芸術大学情報リテラシ科目
[コンピュータ演習]
自己点検のための終了時点意識調査集計
(96年度集中クラス)
第1部



京都造形芸術大学情報リテラシ科目
[コンピュータ演習]
自己点検のための終了時点意識調査集計
(96年度集中クラス)
第1部

96-10-01
石原亘
京都造形芸術大学 総合環境学研究室


0. 目的と手法


 この意識調査は京都造形芸術大学で96年度に夏期集中科目として開講した[コンピュータ演習]の開講に関して、自己点検の目的で行なった。  調査の対象は、[コンピュータ演習]の集中クラスDおよびEを受講した学生である。
 調査は、科目の最後の時限に、すべての講義と実習を終了してから行なった。
 出席していたすべての学生に、別紙の調査用紙を配布し、調査の目的と記入の方法を説明し、任意で参加を求めた。
 調査の回答の形式は、数値記入部分と自由記入部分とに分かれている。

0.0. 数値記入部分

 数値記入部分は、別紙の各欄に、特記するべき点があれば、以下の-2〜2の数値(またはそれに代わる記号)を記入するものである。

-2 きわめて同意できない
-1 同意できない
0  どちらとも言えない(記入なし)
+1 同意できる
+2 きわめて同意できる

 記入がないのは0と見なすものとしている。
 この科目には10件の単元が含まれていたが、そのうち以下の三つの単元に対して評価を求めた。

・[仮想散歩] (=ハイパテキスト情報処理とコンピュータ)
・[音具としての私] (=サウンド情報処理とコンピュータ)
・その他の正負どちらかの評価を特に指摘しておきたい単元(任意)

 あらかじめ指定した単元は、在来の同様の科目でしばしば取り上げられる話題と、大学における情報リテラシ教育において今後はより重視されるようになっていくと思われるマルチメディア関連の単元とから選んだ。ただし、以下の集計では、紙面の制約から、それぞれの設問に関してすべての単元の得点を合計したものを掲げているため、単元に固有の傾向は読み取れない。これを補う分析は別に報告する予定である。

0.1. 自由記入部分

 (第2部に掲載予定)


1. 凡例

 各設問のグラフは、それぞれの得点を記入した回答の度数を示す。もしそれぞれの属性について可不可がなければ、グラフは下図のように0に峰を持つ曲線をなすはずである(図は概念図で高さや広がりには意味はない)。



 設問は、すべてポジティブな印象を受けたかを問う形式になっている。したがって、分布の山が上図のものより右に寄っているほど、ポジティブな評価が得られたと判断できる。


2. 集計


 今回の調査では、D+Eクラスで実際に受講した38名(登録者は46名)に調査票を配布して、そのうち32票を回収した。対象者に対する回収率は84%である。


設問01
何を勉強するのかよく分かった




 各単元の目的への引き込みは適切に行われたと考えられる


○○○


設問02
勉強したいテーマだった




設問03
今日性があるテーマだった




設問04
実用性があるテーマだった




 以上の3問はテーマが適切であったか検討するためのものである。興味、今日性、実用性のすべてにおいて正の評価を受けたと考えられる。


○○○


設問05
説明は十分詳しかった




設問06
説明は分かりやすかった




設問07
説明の内容が新鮮だった




設問08
説明の内容が大学らしい




設問09
説明の内容が正確そうだった




設問10
説明で多くのことが分かった




 以上の6問は説明の内容が適切であったか検討するためのものである。詳しさ、平明さ、新鮮さ、レベル、正確さ、豊富さのすべてにおいて全体としては正の評価を受けたと考えられる。
 平明さに関しては、平均こそ負に割ってないが分布が正負の領域に広く拡がっている(設問06への回答)。これは、講話を分かりやすいと感じるかどうかには学生によって大きな差があり、それを教育計画では配慮しなければならないことを示している。


○○○


設問11
時間をかけて説明してくれた




設問12
全員に講義するのがうまい




設問13
1対1で説明するのがうまい




 以上の3問は説明の実際について適切であったか検討するためのものである。時間、技術(対全員、対個別)ともに正の評価を受けている


○○○



設問14
資料/素材がよく準備できている




 授業で学生に提示する資料/素材には、デジタル情報に関する初歩的な解説書、演習手順書、演習に必要な資料(ワークシート、換算表など)、作例などが含まれる。これらの内容については正の評価を得ている


○○○



設問15
実習の作業が分かりやすかった




設問16
実習の内容が新鮮だった




設問17
実習の作業量が適切だった




 以上の3問は実習の内容が適切であったか検討するためのものである。平明さ、新鮮さ、豊富さのすべてに対して正の評価を受けている。
 実習の作業が分かりにくかったとする回答がわずかに目立っている(設問15)。これは設問06と同じく、学生の理解の力に幅があることにうまく対応する必要があることを示唆している。
 実習の作業量が適切ではなかったとする回答もわずかに目立っている(設問17)。しかし、演習で所期の効果を得るためにはそれなりの作業が必要である。実際には十分な作業をして、それでいながら負担に感じさせない演習を工夫するべきであろう。


○○○



設問18
実用的な能力が身についた




設問19
新しい知識が身についた




設問20
発想の参考になる




設問21
刺激的な体験になった




 以上の4問は履修による実際の効果を自覚させ得たか検討するためのものである。実践力、知識、発想力、刺激のすべてに対して正の評価を受けている。中でも知識が獲得できたこと(設問19)と刺激を受けたこと(設問21)に対する評価がきわめて高い。


○○○



設問22
受講者数が多すぎなかった




設問23
出席しやすい時間帯だ




設問24
授業以外での負担は少なかった




 以上の3問は授業の形態が適切であったか検討するためのものである。時間割、完結性に関しては正の評価を受けている。
クラスの規模については、この調査では例外的に負の評価を受けている(設問22)。これは、今回の調査の対象となっているD/Eクラスでは、時期によって1台のコンピュータを同時に2名に割り振らなければならなかったことに対する否定的な評価の現われと思われる。


○○○



設問25
時間をかけて実習できた




設問26
先生やほかの学生と討論できた




設問27
最初の予定通りに進めてくれた




設問28
教具が充実していた




 以上の4問はその他の授業の実際について検討するためのものである。時間的な余裕、討論の機会、進行の正確さ、教具のすべてに関して正の評価を受けている


○○○



設問29
熱心な気分の中で勉強できた




設問30
和やかな気分の中で勉強できた




設問31
緊張して勉強できた




 以上の3問は授業のふんいきが適切であったか検討するためのものである。熱気、和やかさ、緊張感のすべてに対して正の評価を受けている


○○○



設問32
新しい興味が湧いてくる




設問33
積極的に参加した




設問34
独特なおもしろさがある




 以上の3問は授業を通じて学生に好ましい学習への意識を生じさせることができたか検討するためのものである。興味、士気などすべてについて正の評価を受けている




参考文献


(00) 石原亘、「京都造形芸術大学における専門共通科目としてのコンピュータ演習の試み」、京都芸術短期大学紀要「瓜生」、Vol.14(ショートノート、92-03-15)

(01) 石原亘、「芸術学部における共通専門科目としてのコンピュータ教育」、情報処理学会研究会報告、Vol.92, No.63(92-08-10〜11)

(02) 石原亘、「96年度コンピュータ演習演習解説書」、(WWW)、http://ns.infonet.co.jp/apertment/March/paper/CLP/index.html(96-09-30)

(03) 石原亘、"京都芸術短期大学情報リテラシ科目[情報論B]自己点検のための終了時点意識調査集計(96年度マック班)第1部"、(96-10-01)


統計


(00) 素資料(csv形式)。ただし以下の加工を行なった。
・所属等の記入の部分を除いた
・設問×単元の組合せごとに対して記入されていた評価を設問ごとに合計した

(01) 上記の資料から得られた度数分布表(csv形式)


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