Sc.00 駅前から市街の中心に向かう広い道   未明。人も車も見えない。   その一角に明りが灯る。雛衣が立っている。タバコに火をつけた。   火の残っているマッチを親指と人差し指とで危なげに挟み、ぼんやりと見つめている。   雛衣は深く一服する。ううっ!! シブい!!   突然、 雛衣 あつっ、あつっ、あーちちちち   とマッチを投げ捨てる。   いくらけだるいからって、指に火がつくまで持ってるか?! 雛衣 で〜!!   雛衣はあたりを駆け回る。 雛衣 バカ、ドジ、ノロマ、カメ、だっめね〜 (一息ついて、自分に言い聞かせる) いい? 二十歳(はたち)になるまでに、ちゃんとお酒は止めるのよ。でないと根の暗い女になってしまうわよっ。   雛衣は首を振る。   雛衣はふてくされてよたよたと歩きだす。   街の中に消えて行く哀愁の後ろ姿... と、突然、道の真ん中にしゃかずみこむ。   はでに、しきりに吐く。しゃがんだまま、 雛衣 歯、磨かなくっちゃ   また立ち上がって、歩きだす。