作品記録●[月虹舎]



福の神あります
森島永年

http://WWW.infonet.co.jp/apt/March/Aki/Fortune/index.html








1
不幸が続いた

少女:よくないことはたて続けに起きる

少女:うちを出ようとしたら、靴のひもが切れた

少女:アイスクリームが落ちた。......あっ

少女:彼氏に振られた
A:ごめんな。好きなんだ、あいつのほうが

少女:バイトを首になった
店長:高校生の方が時給が安くてすむんだよ。うちもたいへんでさ

少女:おやじが勤めていた会社が倒産した
電話の向こうで
父:というわけで、悪いが今月から仕送りはちょっと厳しいかもしれない。すぐなんとかするから

少女:ぼーぜんとして、歩いていたら自転車にはねられた
少年:(フレームの外から)大丈夫?
少女:はい

少女:私が何か悪いことをしたとでもいうのだろうか

2
福の神あります

起き上がるとすぐ目の前の瀬戸物屋のウインドーに "福の神あります" の張り紙。
引き寄せられるように立ち上がって店に入っていこうとする少女、ふらふらしていて店の前でこける。少年がついて店に入る。

少女:福の神っておいくらですか
店主:2000円です
少女:(財布の中を確認して)じゃあください
振り向くと少年
少年:病院とか、いかなくていい?
店主:(少年のことはまるで見えていないかのように)はいおつり

店を出ていく少女。後ろから少年がついてくる。

3
アパートへの帰り道

少年:俺、石神っていうんだ
少女:福の神さんですよね
少年:えっ、いや......

4
少女のアパート

少女:どうぞ
少年:いや、送ってきただけだから
少女:それじゃ意味ないでしょ。
少年:はっ?

部屋の中で、見つめ合う二人。

少女:おなか空きましたね。
少年:はあ
少女:ごはん食べましょうか
少年:はあ
少女:やっぱり私が作るのよね
少年:えっ

食べ終わった二人。
置物の福の神と見比べて

少女:福の神がある。福の神がいる。福の神がある。福の神がいる
少年:帰ります。大丈夫みたいだから
少女:神様、帰っちゃうんだ
少年:いや、だから
少女:また明日。待ってるから
少年:(独白)来ないって

5
コンビニ

少年、レジで金を払おうとするが、財布がないのに気づく。

少年:財布忘れたんでやっぱりいいです

時計を見て

少年:明日の朝早くいけばいいか

6
なくてもいいシーン

少女が財布の中をあらためている

少女:福の神も貧乏なんだ

7
少女のアパート

翌朝6時半。ドアをノックする少年。

少年:朝早くごめん。財布忘れちゃって、出かけちゃう前じゃないとまずいかなって、あれないと飯も食えなくて
少女:朝ごはん食べます?
少年:はっ、はい

8
道を歩く二人

少女:で、お父さんが勤めている会社が倒産しちゃって......どうなっちゃうんだろう
少年:はあ
少女:神様、なんとかしてくれますよね
少年:本当に神様がいれば、何とかしてくれるんじゃないですか
少女:ずいぶん他人事なんですね
少年:一応他人だから
少女:あの、神様ってあるだけでも、いるだけでもだめだと思うんですよ。人間だってがんばってるんだから神様もがんばってもらわないと
少年:それってもしかして俺
少女:はい。それで、とりあえずはアパート代なんですけど

9
病院

少年:なぜか神様は私を病院に連れて行った

少年、入り口で急に引き返す

少年:とりあえず、バイトして金、用意してからだよな

10
道路工事現場

旗振りをしている少年。

少年:俺なんでこんなことしているんだろう。

11
1ヶ月後、少女のアパート

少年:(金を渡して)これで病院に行ってください
少女:でも、その前にアパート代が......ごはん食べていきます?これで何か買ってきますから(と少年が持ってきた金をつかむ)

12
2時間後

少年:ごちそうさまでした
少女:どういたしまして
少年:ところで、仮に俺が福の神だとして、もちろん違うんですけど、福の神だとしたら、努力しない人にはご利益をもたらさないと思うんですよね
少女:はあ
少年:あなたも働くべきです。いや、働きなさい
少女:でも、バイトくびになっちゃったんですよね
少年:見つける努力をしてみなくちゃ

13
コンビニ

少女が出てくる。少年にO少女サイン。

14


にこやかに買い物をする二人。これを見ている中年の男。

15
少女の部屋

電話。

少女:はい
男:すみません。あの、そちらにですね、うちの貧乏神がお世話になっていませんか
少女:いえ......福の神さんだったらいらしてますけど。いえ、違います。福の神さんです。

16
少女の部屋。翌日

男:何かの事故で、記憶をなくしましたようで。人間界で研修中だったんですが、急に連絡がなくなったものですから、まあ、こうして探していたというわけで
少女:そう言われても。福の神だと思っていたら貧乏神だったなんて
男:......あいつも、今が大切な時ですから......それに今返して頂かないと、今後ますます貧乏になる可能性もあるわけで
少女:はあ
男:人間と同棲なんて、まったくあいつにも困ったもんだ
少女:貧乏になるんですね
男:もちろんです

17
少女の部屋。その日の夜

少女:福の神がある。貧乏神がいる。
少年:俺って、やっぱり貧乏神なのかな。働けど働けど暮し楽にならないもんな。でも、貧乏なのはおまえの家賃の分まで働いているからだぞ
少女:でも、一緒にいるとなんとなく幸せな感じだよ
少年:そうだよな

18
少女の部屋。その2時間後

一緒の布団で寝ている二人。天井を見つめて。

少女:結局、私は福の神が貧乏神でも一緒にいたほうがいいと決心をした。貧乏と幸せとは関係ないはずだもの

19
働く二人

20
3ヶ月後。アパート

少女:3ヶ月がなんとか過ぎた。貧乏神にも昇級試験があるらしい。
封筒が届く。少女、それを少年に渡す。
少年が封筒を広げると、じゃん!!! 内定合格
次に宝くじを新聞で確認し

少年:1等1億円。やったー
少年:(電話をかけ) おやじ、就職内定。おまけに宝くじ1億円ゲットだぜ。彼女もできるしさ......えー、会ったことがある? いつだよ

少女:どうやら、昇級して本当に福の神になってくれるかもしれない

21
瀬戸物屋の前

"福の神あります" に×がしてある。そのわきに朱で、"売りきれました" の字


Sat, 19 Apr 2003 00:06:26




 森島です
 10分で最低予算ということだとこんなのかなと書いてみました。採用してくれなくても結構です。石原には石原でやりたいことあるだろうから。
 それにこの本だと動きがちょっとないしね。まあ、試作品ということで。
 あまりカット割りを増やさないでね。10分を超えてしまうから。
 書いた時のイメージはスライドショーみたいな感じかな。
 そう言えば、あしたデジカメを買うんだけれど、[デジカメ] という作品のアイデアが浮かんだぞ。書いてみようっと。
 じゃね。


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