資料シート●各科目

Munsellの明度

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 合衆国の美術教育者だったMunsell(マンセル、Albert)は、三つの属性(+いくつかの補助的な属性)を組合せたベクトルを使った表色(=色の表現)系を考え出した。この方式はのちにMunsell方式(43年に改良されたので正確には修正Munsell方式)とよばれるようになった。  日本では、Munsell方式に基づいた表色系がJISで定められていて、工業デザインやグラフィックデザインの分野などで活用されている。
 Munsellは、色を区別する属性として、色合い(hue、色相)、鮮やかさ(chroma、彩度)、明るさ(value、明度)の三つを組み合せればいいと考えた。これらはそれぞれHSB方式の色合い(hue)、鮮やかさ(saturation)、明るさ(brightness)に対応する。
 ただし、Munsellの明るさ(value)はHSB方式の明るさ(brightness)とはかなり違っている。HSB方式の明るさは、白と原色とこれらの中間の色では最大値(たとえば1)になるが、Munsellの場合だと、明るさが最大値をとる色は白だけで、赤、緑、青などの原色はそれぞれ異なった1より小さい値をとることになっている。このため、Munsell方式に基づいてすべての色を盛り込んだ円柱を作ると、原色は、上の底面(HSB方式の場合。▽図左)ではなく側面のいろんな高さに現れる(同右)。

 Munsell方式は絶対的な表色系なので、ある紙の白とあるコンピュータのモニタの白とが(たとえそれぞれのシステムで最も白っぽい白だったとしても)たがいに違う色として表現される場合がある。これに対して、HSB方式ならどちらも彩度:1、明度:1の白として表現される(だからMunsellとHSBを比べるのはよした方がいいんだけど)。
 このため、Munsell方式では明るさを(ほかの属性も)表す尺度もきちんと固定されている。理想的な黒の明るさを0、白の明るさを10として、その間の明るさが(0...10)の実数で表される。もっとも、実際には {1.0 1.5 2.0 ... 9.0} または {1.5 2.0 2.5 ... 9.5} の集合が使われている。

 よく使われている表色系には、ほかにOstwald方式(オストバルト-)がある(Ostwaldは初めてモルの考え方を思いついた人)。Ostwaldの明るさはMunsellの明るさとよく似ているが、原色の明るさは一定とされている。
 日本では色研(図画工作や美術の実習で色研の教材を使ったことはあるよね)が定めたPCCS(Practical Color Coordinate System)もよく使われている。PCCSの明るさ(lightness)はMunsellの明るさと基本的に同じもので、{1.0 1.5 2.0 ... 9.5} のどれかによって明るさを表すことになっている。



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