ソフトウェア製品として流通している
DVDビデオには、それを利用することが認められている地域が定められている。この区別を表す番号を
地域番号(リージョンコード<regional code)という。
現在では、1〜6の地域番号が定められている(▽図)。
DVDビデオは指定されている地域以外では利用できない。たとえば、合衆国と日本は違う地域に属することになっている(1≠2)ので、合衆国で映画のDVDを買って来て見ようとしても、日本のプレーヤはそれをDVDビデオのディスクとは認めてくれない。
この制度は、
DVDビデオの内容のほとんどが(劇場で上映するように作られている)映画であることと深い関係がある。現在の映画(特にハリウッド映画)は、制作された国だけでなく、世界の各国で上映されることを想定して制作のための予算が立てられている。しかし、いろいろな事情から、地域によって公開の時期はくい違う。もしも公開が遅れる地域で、劇場の代わりにDVDビデオが見られるとなると、その地域では上映による収入が得られなくなってしまうだろう。地域番号はこうしたことを防ぐための手段として工夫された。
DVDビデオのディスクには、1枚ずつ、出荷する地域の違いに対応した地域番号が特別な形式で書き込まれている。同じように、プレーヤにも、出荷する地域の地域番号が書き込まれている。プレーヤは、
DVDビデオのディスクがマウントされようとすると、その地域番号を読み取って、自分の番号と一致しているかどうか調べる。そして、一致した場合にだけ
DVDビデオのディスクがマウントされたと認めるようになっている。
利用できる地域を地域番号で指定するのは、必要でなければやらなくてもいいことになっている。そもそも、海外の劇場でも公開する予定がないのなら(または同時に公開できるのなら)、地域を制限する必要はないはずだ。しかし、実際には、地域番号が指定されていない製品はめったに見かけない。
地域番号の制度が作られた目的はそれほどおかしいことではない。しかし、その手段として考えると、地域番号には欠点が多い。たとえば、劇場で公開されてさえしまえば、その地域でも
DVDビデオでその映画が見られるようになっていいはずだが、この方式ではほかの地域の
DVDビデオは引き続いて永久に見られない。こうした、ユーザに意味のない負担をかけるような制度は早く改善されなくてはいけない。
なお、国外で作られたムービの利用は、もともと簡単ではない。地域番号が一致したとしても、
品質(
NTSC、
PAL、SECAM)や、
フォーマット(
MPEG2、
MPEG4など)、
媒体(DVD-ROM、DVD-R、DVD-RWなど)など、多くの側面でそれぞれいろんな規格が使い分けられているからだ。これらのうちのどれか一つでもディスクとプレーヤとがくい違っていると、
ソフトウェアを正しく再生することはできない。