ディスクにファイルを保存しておけるようにするためには、ディスクについての情報(ディスクに保存されているファイルの名称、場所など)をどこかに書いておかなければならない。そして、そのファイルはディスクの中のどの場所に置いておくか、その中にはどんな情報を書いておくか、その形式はどんなふうにするかといったことを、あらかじめ打ち合せておかなければならない。こうして決められた、(ちょうど銀行の用紙のような)規則をファイル編成のフォーマットという。つまり、ファイル編成フォーマットは、ディスク(やテープや
電波)の中の仕切り方といえる。
封を切ったばっかりの新しいFDやMOをコンピュータで使うためには、
初期化(initialization)をしておかなければならない。この作業も
フォーマットとよばれることがある。これは、FDやMOの中に、ファイル編成フォーマットの規則にしたがって最初に必要なファイルを作っておく作業が、初期化には含まれているからだ。
コンピュータで扱うディスクのファイル編成フォーマットは、どっちかと言うとそんなにややこしくはない。面倒なのは、CDやDVDをAV機器で使う場合のフォーマットだ。
AV機器は、コンピュータとは違って自動で動けるように、ファイルについての情報を格納しておくような特別なファイルだけでなく、内容(音楽、映画など)を格納しておく一般のファイルについてまで、その名称やディスクの中に並べる順番まできちんとうるさく決められている。音楽のCDや映画のDVDのことを、特別に
オーディオCDとか
DVDビデオとよぶのは、ただのCDやDVDとは違って、こういった特別なファイル編成フォーマットにしたがってそれらが作られていることを表している。
たった一つの数、一つの文字だけで役に立つ情報が作られることはめったにない。たとえば、スチルやオーディオはいくつもの数を並べることによって表現されているし、テキストも無数の文字の列として構成されている。だから、こういった情報を
電波を通じて通信したり、テープなどに記録したりする場合は、並んでいる数や文字がどんな順になっているのか(またはどう重ね合されているのか)、どこで区切らないといけないのか、というようなことを決めておかなければならない。これがデータ編成フォーマットだ。
コンピュータでは、一まとめの情報は一つのファイルの中にまとめて格納されることが多い。つまり、データ編成フォーマットは、ファイルの中の仕切り方といえる。