学習書/[情報処理]

演習
スケッチ
報告


吉田亮
(99年度履修生)

http://www.infonet.co.apt/March/syllabus
/Literacies/interface/gallery/Yosida.html




 マウスを使ってスケッチの手法で絵を描く場合に発生する問題としては、以下の点が挙げられる。
 まず、マウスでは、線に濃淡をつけることができないという点である。紙に鉛筆でスケッチをする時、普通は鉛筆の筆圧を手で調整して線に濃淡をつける。こうすることにより、微妙な色彩、陰影を表現したり、またはそのスケッチの中で何が重要で、何があまり重要でないかを表現したりすることができる。しかしマウスで引いた線には濃淡が無く、常に一定の濃度の線しか引けない。そのため、マウスで描いたスケッチは、鉛筆で描いたスケッチよりも画調がきわめて単調で、味気ないものになってしまう。
 次に挙げられるのは、マウスを持っている手の動きは、目で確認することができないという点である。鉛筆でスケッチをする際は、自分の目は、鉛筆の先に注目している。線を引くという行動の過程と、その結果である紙の上に引かれた線を、同時に目で確認できるわけである。それに対して、マウスでスケッチをしようとすると、自分の目はマウスではなく、手元のマウスで描いた絵が表示されているモニター画面を見ていることになる。このように、作業をしている手と、その作業の結果が表示されるモニター画面が離れていると、人はその両方を同時に確認することができない。その結果として、人はどちらにも注意を払いきれず、絵はあまり上手なものではなくなってしまうと考えられる。
 最後に、マウスを移動させる際には、マウスを浮かせてはいけないという点が挙げられる。鉛筆でスケッチをしている時、人は鉛筆を回すようにして同じ場所に何度も細かい線を引くことにより、長い連続した線を書いていく。しかしマウスで同じ動きをとろうとすると、途中でマウスを持ち上げるため、モニター上にあるカーソルは移動していない。すると同じ場所に何度も線を引くことができずに、小刻みに途切れた線をいくつも引くことになってしまい、最後には線が画面からはみ出してしまう。
  以上の点が、マウスを使ってスケッチをする時の、主な問題点である。


 三つも論点を見つけ出し、しかも、それぞれについてきちんと議論を展開している点を評価する。
 ただし、スケッチという行動に限るなら、第2項はあまり適切ではない。鉛筆や木炭を使って描く場合でも、画家は対象と紙面をおもに見ていて、手元は見ないことが多いからだ。
 スケッチ以外の行動でなら、手元と紙面が離れているというマウスの特徴が大きな制約になる場合があるかもしれない。ついでだから、どんな場合があるか、ちょっと考えてみてほしい。

(石原)



このページの記事は、科目[情報処理]を履修した学生が課題[スケッチ]の学習の一環として作成した著作物です

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99-12-26