学習書●[情報処理]

演習
年賀状
報告

成毛牧子
(00年度履修生)

http://www.infonet.co.apt/March/syllabus
/Literacies/Internet/gallery/Naruge.html




 結論から言うと、私は電子メールで年賀状を出すのは今の所は反対に立場である。「今の所は」としたのは今後の状況によっては、これから述べる私の反対の理由の一部がなくなる可能性もあるからである。

 私が電子メールでの年賀状に反対するのにはいくつかの理由があるが、そのひとつは[年賀電子メールに関する公開討論]において、細川氏が述べている点にある。
 もしも現在の年賀状の相当の部分が電子メールで送られるようになるとすると、年賀状の性格上、ある、一定時期に大量のメールが集中豪雨的に送られることは確実であり、それが、ネットワークに負担をかけるという点である。
 ただでさえ年末年始は一部のサーバが業務を休んでおり、送られた大量のメールは、届けられる経路の途中の一部のサーバに集中してしまう可能性がある。そのサーバが高性能だったならまだしもそれほど性能の高くないものだった場合、サーバがメールでパンクしてしまうということもありえる。一つのマシンのパンクでも、多くの人々に影響を与えることがありえる。たとえば、メールが届くのが遅れる、またはネット上でメールが消えてしまい届かないといった事態が予想される。このようなことは絶対に避けなければならない。

 二つ目の理由は、同じく[討論]で近藤氏が指摘されているとおり、慣例儀礼などの面から見た、年賀状のモラルの問題である。先に述べた、出したはずのメールが届かない、または遅れるといった事態もここに含まれるかもしれないが、そのほかにも、細川氏が指摘されている「TOの迷惑」について配慮する必要がある。
 「TOの迷惑」とは、宛先として複数のメールアドレスを列挙することによって、他人のメールアドレスを不特定多数の人に流してしまう、という問題である。これは、相手にとって迷惑であるばかりか、自分の交友範囲を他人に知らせてしまうというプライバシーの面での問題にもなる。
 このほか、手軽に出せてしまうため、単に儀礼だけの年賀状を必要以上の人に送ってしまうのも迷惑だ、という指摘もある。ただしこの点においてははがきによる年賀状も儀礼だけのものが多数あり、電子メールと大差ないように思える。虚礼廃止を唱えるなら、そのようなはがきの年賀状も廃止するべきであろう。ただし、年賀状が、普段会わない人との貴重な近況報告、安否確認の場になっていることも事実であり、私は、個人的には、はがきであれ電子メールであれ年賀状は廃止するべきではないと思う。

 これらの問題について、[討論]で、にょろ氏が『(年賀はがきも)媒体が違うとはいえ、同じことが言えますよね』と言っている。しかし、私は違うと思う。
 郵便葉書による年賀状は、過去何十年にも亘る積み重ねの結果、学生のアルバイトを雇うなど、大量のはがきを処理するためのシステムがある程度は整っている。それでさえ、24日以降の投函の年賀状に関しては、元旦の配達を保障できていない。その点メールに関しては、インターネットが普及してからそれほど年月がたっていない上、瞬間的に処理をする性格上、はがきにおける学生アルバイトにあたる助っ人を導入するのも難しい。そのうえ、インターネットには郵政省にあたる全体を統括する機関がないため、管理も難しい。こうした事情から、インターネットは郵政省とは違って、本質的に、郵便物がシステムの許容範囲を超える可能性が高いのである。

 今後、情報を瞬時に処理できるようになれば、ネット上の渋滞も緩和されるかもしれない。また、それをバックアップするシステムが整備されれば、年賀はがきと同様に使えるようにもなるかもしれない。ただ、いまのところは、それが現実のものとなっていないのである最初に、「今の所は」といった理由はそこにある。
 例えばネット上で知り合った人物でメールアドレスしかわからない、またはどうしても元旦に届けたいなどの理由から、どうしても電子メールで送りたいという場合は、ネットワークに負担をかけないよう、さまざまな工夫をするべきである。

 一つには、メールの量や、データの量を減らすというということがある。現在、テレビなどで、「今年の年賀状は撮った映像をそのまま Eメールで」などというようなことが宣伝されているが、そんなことは言語道断である。ただでさえ大量のメールが出回る時期に映像のような容量の重いデータを送っては、パンクを促進しているようなものである。この解決策は、[トラブル対処法]にも載っているが、「このURLを見てください」というメールを送り、そのURLに画像なり何なりを載せておくのがもっとも効率的であろう。
 そもそも、自分のメールがどのような経路で相手に届くのかについて、きちんと知っておくべきなのかもしれない。自分と相手の間に、極端に容量の小さいサーバがあれば、特に注意しないとすぐにダウンさせてしまうだろう。とは言え、自分のメールがどこを通って相手に届くのかをいちいち把握することなど不可能かもしれない。

 元日をはずすなど、時間帯をずらすという方法もある。ただし、これでは、瞬時に送れるというメールの特性が活かされていないように思われるが。

 とにかく、年賀状メールのおける最大の問題はネットワークのダウンの可能性であり、それが解決されない限り、年賀状メールはあまり行なわれるべきではない。

 年賀状も含めて、不必要なメールは出さないなどのモラルについてははがきもメールも一緒であり、それを送ることによって、誰が迷惑するかということを個人個人がよく考えて使用するべきだろう。

 最後に、問題とは外れるが「はがきのほうが気持ちがこもっている」という主張について意見を述べておきたい。こうした主張は[討論]の中でもしばしば見られたが、私はそんな大差はないと思う。
 はがきであっても、ただ決められた文章を印刷しただけのものもある。そのようなものよりは、メールで一人一人異なった文章をおくったほうが気持ちがこもっているはずである。



このページの記事は、科目[情報処理]を履修した学生が課題[年賀状]の学習の一環として作成した著作物です

情報処理
[インタネット]


Copyleft(C) 2001, by Studio-ID(ISIHARA WATARU). All rights reserved.


最新更新
01-01-01