ウェブによる掲示板は、CGI(Common Gateway Interface)とよばれるWWWの特別な機能を利用している。
これは、外部プログラム(CGI ではゲートウェー=gate wayと呼ぶ)を呼び出して処理を依頼し、その結果を WWW ブラウザに送り返すという機能で、ほとんどの WWWサーバがサポートしている。このお陰で、ユーザとページとの間の双方向のコミュニケーションが可能になる。掲示板もその一つである。
具体的には、ユーザがWWWブラウザからデータを入力すると、サーバがゲートウェーを起動し、そのゲートウェーが様々な処理をして結果を HTML 形式で サーバに送り返す。サーバはそれをブラウザにスルーパスするしくみである。情報は基本的にサーバとブラウザの間でやりとりされる。
ニューズは、このあとで述べる電子メールのメーリングリスト(以下MLと略)の機能を専用に作ったようなしくみである。
まず、通常はある程度の規模をもった組織ごとに一台のニューズサーバを設ける。そして、ユーザはニューズサーバに接続してそれが管理しているファイルにメッセージを書き込む。逆に、ニューズの内容を読みたい場合は、やはりニューズサーバに接続して、そこに溜まっているメッセージを1通ずつ手元に届けてもらう。つまり、ニューズサーバは以前のいわゆるパソコン通信の電子掲示板とほぼ同じ役割りを果たしている。
ニューズサーバの通信には TCP/IP の上位プロトコルである NNTP(Network news transfer protocol) を用いる。ニューズサーバに書き込まれているメッセージの読み出しもNNTPで行う。
ニューズが電子掲示板と大きく違うところは、ニューズサーバ同士もやはりNNTPを使って書き込まれた内容を互いに交換するというところにある。ニューズサーバは定期的、もしくは即座に別の隣接したニューズサーバに情報を渡し、それがバケツリレーのように繰り返されていく。このようにして世界中のニューズサーバに情報が伝達されていくのである。従ってユーザが世界のどこかのニューズサーバに書き込みをすれば、それが世界中のニューズサーバに送信されていくことになる。
なお、ニューズはいくつものカテゴリに分かれ、それらのカテゴリがツリー構造になっている。
最後は電子メールの
メーリングリスト(ML)である。
メーリングリストでは、記事を書き込みたい場合は、ユーザはブロードキャスト用のメールアドレスにメールを送って発言する。するとそのメールが、登録されているメンバー全員に配信されるのである。誰かが発言すればそのメールはメンバー全員に配信される。
メーリングリストのメンバーになりたい場合には、ユーザはそのメーリングリストのメールサーバに電子メールなどの手段で参加申し込み書を送ればいい。するとメールサーバはそのユーザのメールアドレスをリストに追加する。
さて、以上の三つの方式の長短であるが、インタネットのトラフィック、カテゴライズされているかなどの融通などを考えれば、ネットニューズが全体としては一番だと思われる。些細なことでも気軽に電子掲示板の感覚で書き込めるし、世界中のニューズが閲覧できる(
*00)。見たい情報を能動的に選択することもできる。ただ、ニューズは専用のプロトコルを用いているので、少々見に行くのが面倒という短所もあるし、ニューズサーバが近くにないといけない(
*01)。バケツ・リレーをしている間のタイムラグもある。
一方の ML は、メールを用いているため見るのが非常に簡便である。それに私的見解ではあるが、雰囲気がなんとなくまとまっていてニューズよりはとけ込みやすい気もする(
*02)。
しかしML のようにいちいち発言一つ一つがメンバー全員に配信されていてはトラフィック増加のもとである。メールサーバにも負担がかかるし、メンバーにとっても、一日に何百通ものメールが送られてきて困ってしまう可能性がある。ニューズのように情報の選択もできない(
*03)。どちらかと言えば、MLは情報量が多い場合や、じっくりと語り合うようなコミュニケーションに適していると思われる。
ウェブ掲示板は、非常に匿名的な雰囲気が強い。基本的に参加は誰でも自由であり(パスワードなどが必要なければ)、なにしろ ウェブ を使っているので手軽である。しかしそのため逆に心ないものに荒らされたり、気軽さゆえかコミュニケーションがしばしば粗雑になりやすいという特徴を持つのも事実である。