[左耳の精霊]
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八雲神社(川尻)稲荷


 水樹が稲荷にたどり着く。

水樹の声「そののちも村に死人の出でし通夜の夜に、鎮守の林より、三滝の鐘の音の聞こえしこと、まま有り。また若き生娘のひとりにて稲荷に参りけるが、時折り神隠しにあいにけることも有り。決まって地鳴りの響き有りと聞く也。これ、おりんが恨みの消えざる証拠なりとて、村の娘、その稲荷に近づくこと能わずと後々まで、村の決まり事となりにける也。鬼山春楼(おにやましゅんろう) 記(しるす)」

 荒涼として誰もいない。
 稲荷のほこらの中には、たくさんの小さな焼物の狐たち。



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98-09-10