[左耳の精霊]
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http://www.infonet.co.jp/apt/March/QMF/Yosimatu/SpiritusLoci/ scene/34.html




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仏通寺・参道


 鬼山が参道を歩いて来る。

常盤の声「最初の実験が失敗に終わったことはガヴロー教授にとって大きなショックだった。が、より慎重に実験を継続した。今度は屋外で、観察者全員をコンクリートの遮蔽壕に入れて守った。細心の注意をもって行なわれた実験の結果は、しかしまたしても壊滅的だった。装置の出す音は周囲1キロ以内の窓ガラスを全て破壊してしまった。教授は研究の継続を断念し、死を呼ぶ"周波数7型機"は廃棄されたが、一説には軍事関係の手に渡ったとも言われている。ここまでが、7型機に関するごく初期段階の記録である。」

 石段を登る鬼山。
 巨大な杉を見上げる。
 赤い仏塔にたどり着く鬼山。
 チャリン!
 鈴の音に鬼山が振り返ると、赤い仏塔の脇に、女狐が立っている。
 ドクン!(鬼山の中の何かが目覚めようとしている。)
 鬼山の無表情なアップ。
 鬼山の手が何かをしきりにつかもうとするかのように痙攣している。
 ドクン!鐘の音。



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98-09-10