(表紙)

[物理学]シリーズ

井戸良弘=石原亘






(クリッカブルサムネール)

重力
94-09




(クリッカブルサムネール)

電界
94-09




タブロー連作
1040mm×1456mm
コート紙+インク



球面はどの方向にも均質な形状である。それは、もし完全に孤立して存在していたら何も特徴のあるイメージをもたらしてはくれない。しかし、周囲に一つでも別の対象が存在すれば、たがいの姿を映し合ったり、歪んだ透過像を生じたりして驚くほど豊かなビジョンが生じる。逆に、球面に発生するそのようなビジョンはその周囲の状態を知覚させる情報を潜在させている。
[物理学]シリーズは、反射像と透過像と影によって、架空の世界に配置された複数の球面の存在がどのように表現できるか検証しようとする試みである。場合によっては、モデルには折り込まれていない空間を満たす場の力さえ知覚できることがあるのがふしぎである。水晶玉占いはこの効果をインスピレーションの契機として利用しているのだろう。
具象画は、作品の世界に没入した観客にこちらの世界と異なった事件や人物や静物を提示する。けれどもそれらの事物と観客をとりまく周囲の空間については、やはり現実のと同じように空気で満たされていて、1Gの重力が下向きに働いている空間のままである。物理学シリーズでは、流線などの記述的な要素を用いることなく光現象の再現だけによって、こちらの空間とは異なった属性を持つ空間を観客の周囲に構成しようとしている。



これまでの発表に関する履歴

SIC-GRAPH'94、ギャラリー楽(京都)、94-10-24〜30


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三月劇場
[KATARIBE]


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